改めて当時を振り返ってみました

早期退職までの経緯(2012.6.8)
  
 今から3年ほど前のこの時期、私は早期退職すべきかどうか、というか「した方がよいか」「しない方がよいか」という二者択一で悩んでいました。

 と言うのも、教員の世界では、翌年度の3月の人事異動に向けて、夏休み明けの9月中旬ぐらいから、翌年度の異動に関する調査が行われるからです。

 会社組織と違って、ある程度自分の希望を文書化して提出できるというのは恵まれた環境かと思いますが、県下に200校近い高校がありますから、先生方は1校50人として10000人ぐらいいる可能性があります。(これは私の個人的な推定の数値です)

 その中の5%が異動すると500人。これを県の人事課が考えるわけで、通常の県庁の人事も併せると大変な作業量になります。

 そこで県としてもある程度異動の規則を作り、そのルールに則って計画を組むのですが、それが個人単位まで降りてくると、やはり「何で俺はあの学校で、あいつはあんなに良い学校に行くんだ」という不満がどうしても出てきます。

 そういった不満をなるべく感じさせずに、意欲的に働ける異動を行うのが人事課の役割だとも思いますが、そのような有意義な人事を行うためにも早期退職等の特別な異動は早めに把握しないといけません。それが9月中旬に調査が行われる一つの理由かなと思っています。

 一方我々異動させられる側は、来年度他校への異動希望を提出するか、残留を希望するか、それとも早めに退職するかということを決めなくてはなりません。それが今の時期でした。

 この頃私は職場では教務主任という立場で、管理職と一般の先生方の間に入って、学校全体の動きがスムースにいくよう調整する役目を負っていましたが、当然神経を使うことが多く、また責任ある仕事も多いため、精神的にかなりまいっていました。

 もちろんその仕事だけをこなすなら問題なかったのですが、その年の2月に妻を失い、息子は中学3年で受験期を迎え、妻の入院見舞いという仕事はなくなりましたが、その分家事労働と職場の重責で、うわべはがんばれたものの、精神的にはかなり追い込まれた状態でした。

 そんな中で、早期退職をするかどうか、という判断を迫られていたわけです。そこで上記のした方がよいか、しない方がよいかという悩みになるわけですが、当然早期退職をすることになれば、一番問題となるのは家計です。これが果たして破綻しないのか気になっていました。

 二つめが仕事です。いきなり何もしなくて良い、と言う環境になって、何もしなければ社会との接点が失われ、なんだかあっと言う間に痴呆になってしまうような不安を感じていました。またその時一緒に働いていた同僚がどう思うか、ということも気になりました。

 三つめが健康。毎日規則正しく起きて仕事をして帰ってくる、というローテーションがなくなり、自分自身で日常生活を管理できるか、という問題も感じていました。ぐうたらな生活になってかえって健康を害するのではと言う不安がありました。

 四つめは世間体。実家の母親に早期退職の話をちょっとだけ持ち出すと、そんな昼間からフラフラしていて良いのか、と言われました。そのニュアンスは、どちらかといえば世間体を気にしたものだったような気がします。

 五つめは息子からみた父親の立場がどう思えるか。息子にも「やめるかもしれない」と言いました。すると「仕事なくて食べていけるの?」と聞いてきましたので、息子なりに自分の生活を心配していたのだと思います。

 早期退職と言っても、自分だけの問題にはならない、ということをきちんと考えておかないといけないな、と感じています。


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