納付率が低いのは生活の苦しさ

国民年金納付率が最低を更新(2012.7.7)

 7月5日のニュースで、国民年金の納付率が58.6%になり、過去最低を記録したと報道されました。様々な新聞社が取り上げていますから、すでに読まれた方も多いのではないでしょうか。

 未納が増えている原因ですが、記事によれば

@ パート等の非正規労働者が増えているため、そもそも払う必要がない人や払えない人が増えている

A 年金に対する不信感から、支払いそのものを拒否する人が増えている

ということが書かれていますが、未納の人の内訳は公表されていません。

 というわけで、この辺りをもう少し調べてみようという気になって、ウィキペディアを見ています。

 すると、先ず主旨ですが、「すべての国民を対象に、老齢、障害又は死亡による所得の喪失・減少により国民生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯により防止し、健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする公的年金制度」(引用終わり)と書かれています。

 まあ要するに一人一人の国民が老後になっても豊かな人生を送ることが出来るように、互いに助けあっていきましょう、ということですね。そのために一定の掛け金によって、ある程度のお金がもらえるという仕組みです。

 当然ながら保険料の納付も支払いも国民全体を対象にしていますから、本来なら全員が収めなくてはいけない保険料のはずです。

 ところが少子高齢化が進んでいるのに政府が対策を先延ばしにしてきたために、徐々に原資が枯渇。

 最近になってようやく少しずつ改正しようという動きが出てきたわけですが、たまたま経済的な不況の時期も重なり、また政府や企業が安い労働力を使って経済効果を高めようとしたため、フリーターやパートが増加。

 収めなくてもいい人や収められない人が増えて、納付率が低下。それによってさらに原資が減少し、支給年齢を引き下げたり、支給額そのものを見直そうとしたりしているわけです。

 しかし、今度はやればやるほど、今後の年金はどんどん減るという不信感も出て、ますます納付率も下がる、という悪循環です。

 特に50代はまだ惰性?で納付率も高いようですが、年齢が下がるにつれて納付率も低くなっているようですから、事態は深刻です。

 現在の年金保険料は一ヶ月15000円程度。これを40年間払うと720万円。これで満額支給の条件が揃いますが、支給額は65歳から75歳まで10年間もらえば7921000円となるわけで、単純に考えても収めた方が得になるように思えますし、その後は平均寿命まで長生きする分がすべて得になる計算結果です。

 しかし得になることが分かっているのに払わない(払えない)というのは、よほどの不信感か不況の影響か、それともこういった計算結果を知らないせいかなと思います。

 また黙って支払いを拒否するより、申請して免除になれば、その分も年金算出基準年数に一部加算されるのですが、そのことを知らない人も多いのではと思います。

 しかし今、全額免除の割合の推移を見ているのですが、平成元年は12.5%だった全額免除者の割合が、平成19年には25.8%と倍以上になっています。

 やはり不信感よりも、生活そのものが苦しい家庭が増えているのではと思います。 


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