もらえる年金総額は10%減

年金1.1%ずつ減額と繰り上げ受給の関係(2014.10.21)

 政治資金の不透明な流れやうちわ問題は、結局主要閣僚二人の辞任という形で収束しそうですが、特に小渕大臣の場合は記載内容の不備で済ますだけでなく、お金の流れがどうなったのか、今後もきちんと調べて欲しいなと感じています。

 脇が甘かった、なんていう指摘がありますが、その語句の裏には、「うまく隠せなかった。正直にやりすぎた」という言葉も隠れているような気もします。

 それはそれとして年金です。毎年毎年1.1%減額されるということが、将来的にどのような影響を及ぼすのかが気になっています。

 そこで先ず現状で月々20万円もらっている65歳の方がいるとして、この方がもらえる年金の合計額を考えてみました。といっても、個人個人の寿命は分かりませんので、平均余命(65歳の平均余命は18年)を考慮してが84歳までの20年間の収支を考えます。

 そうするとこの方は65歳から年間240万円を20年間受け取ることが出来ますから、もらえる年金額は240×20=4800万円になります。

 次に物価の変動はないと考え、毎年年金が1.1%ずつ減額されたとすると、前年度の年金額より1.1%ずつ減らした額を表にして、それを上から順に20年間合計して行くと総額が計算できます。

 これは表計算ソフトを使えば簡単に求めることができるのでやってみると、合計は4330万と出ました。つまり厚労省が毎年1.1%ずつの減額を決めた瞬間に、この方は年金が470万円減るということになります。

 逆に言えば年金財源が470万円節約できたということになるわけです。470万円といえば、もともともらえる額の1割近い値ですから、この影響は大きいように思います。つまりシニアの場合、今後人は増えても消費は落ち込むということになりそうです。

 かといって減額しなければ、年金財源が枯渇して年金制度そのものが崩壊するという危険性もあるようですから、将来のことを憂えるシニアは我慢するという構図になるのでしょうか?

 しかしこれも逆に考えれば、そういったシニアの良心を政府側が逆手にとっているとも解釈できそうです。 

 一方気になっているのは、私も考慮している年金の繰上げ受給です。今後1.1%の減額が行われた場合、繰上げ受給は有利になるのか不利になるのか。

 そこで今度は今60歳の人が、65歳から月20万円もらえる年金を、5年間繰上げした場合どうなるかということを考えてみました。これは以前も計算したことがありますが、先ず基本額が1年につき6%減額されますので、5年なら30%受給額が減ります。

 つまり年間240万円受給予定だった人が5年繰り上げ受給をすると168万円しかもらえないということになります。ただし額は減っても5年分、すなわち168×5=840万円先取りしてもらえますので、当初は家計が助かるはずです。

 その後5年経つと、65歳から受給を始めた人は年間240万円もらえるので、受給総額は繰り上げ受給した人にどんどん追いついてきます。

 どこで追いつくかと言うと、これも表計算ソフトで簡単に計算できますが、だいたい76歳ぐらいで逆転するみたいです。結果的に84歳時点で受給できる総額は4200万円となり、通常の需給に較べると600万円減ります。

 ではこういったことを、1.1%ずつ減額されたときに当てはめると、この76歳という数字が増えるのか減るのか、これについて明日考えてみたいと思います。

  
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