人生100年の言葉に惑わされないように

2017.9.25

 現実を直視して、客観的なデータがあれば、それを老後の生き方の参考にすることがは大事だと思います。マスコミは人生100年を生き抜くには、という書き方をすることが多くなりました。

 しかし客観的なデータとして信用できそうなのは、先ず平均寿命です。現在は男性81歳、女性87歳というところでしょうか。ということは私の場合残りは17年ということになります。

 つまり人生100年となる可能性はかなり小さいと言えそうで、だとすれば人生100年として人生設計を考え怯えるのは、あまりにも不正確な想定だと言えそうです。

 ただし平均寿命は、ごく最近生まれたゼロ歳児の平均余命の値ということになっています。そこで私の年齢である64歳の平均余命を見ると19年という数字が出てきました。

 つまり今現在、私の年齢である人は平均的に83歳まで生きるということです。ということはこの年齢を目安にして老後の人生設計をすればよいということになりそうです。

 一方、健康寿命という考え方もあって、これは他人に頼らずに自立した生活を維持できる年齢というような定義になっているようですが、これが現在男性は72歳前後、女性は75才前後になるようです。

 そうなると私の場合あと8年しかないということで、この8年間は今と同じ程度の消費支出が続くにせよ、72歳以降83歳までの11年間の消費支出は今よりも少し減るという計算になりそうです。

 ただし実際には減るといっても、医療費は増えるでしょうから、総額で月1〜2万円ぐらい減るぐらいだと思われます。とはいえ1〜2万のインパクトは老後の生活では大きな数字だなと思われます。

 というわけで、私の場合72歳まで仮に月の消費支出が15万だったとすると、その後8年間は13万ぐらいに減る可能性があるというのが客観的な見通しだと思っています。

 だとすれば現時点で年金等の収入が15万あれば、生活費は何とかなるという計算になり、心配なのは一時的な支出である家のリフォームとか車の買い替え代、旅行代さらに全く予測不可能な医療費ということになりそうです。

 これらの合計がいくらぐらいになるのか?仮に多めに見積もって車の買い替え代300万、リフォーム代200万、旅費200万、医療費300万と考えると、現時点で余力が1000万あれば、とりあえず寿命を全うできるという計算になりそうです。

 そこまで考えて、だとすればもし人生100年となった場合どうなるかですが、当然ながら83歳以降は年金だけで生活が成り立つというのが上記の仮定になっていますから、65歳時点で必要なのは人生100年であっても1000万ということになりそうです。

 あとはこの余力である1000万をどう確保するかということですが、現時点で貯金がその程度あればそれを減らさないような生活設計をするというのがベストですね。

 では、ない場合どうするのか?これは一人一人が自分の実情に照らし合わせて、こういった計算を自分でしてみないといけないということで、安易に人生100年だから足りないのは〇千万という雑誌の言葉を信じて、やったこともない投資に走るというのが一番危険なことだと思います。

 さらに言えば、貯蓄の王道はたとえ利息がゼロ円であって、毎月少しずつ積み立てることだと思っています。その意味では積み立ての複利計算は重要です。

 もし毎月2万円ずつ10年間積み立てることができれば、10年後は240万円になっていますが、これが1%の利息だったら10年後は250万円を超えています。

 さらに少し若い時期から毎月3万円ずつ15年間積み立てれば、単純計算で540万です。さらに1%の利息が付けば580万を越します。

 また積み立て投資信託の中には、年平均5%程度上昇しているものもありますから、これらをうまく利用すれば3万円を15年間で800万にすることも可能で、これなら老後の生活に大きな潤いを与えると思います。

 いずれにせよ重要なことは、前にも書きましたが現状の把握と将来の予測を自分の頭で考え判断し行動するということだと思います。


表紙に戻る 生活設計3 70歳で必要な資産