初めて株を買ってみたら

株式購入

 初めての株式購入の印象は鮮烈です。今でも記憶に残っています。

 カウンターの向こう側にすわっている、うら若きお姉さんに、ドキドキしながら、恐る恐る?「株式を購入したいんですけど・・・」と切り出します。

 ちなみにこのとき訪れた証券会社ですが、父親が利用していたらしい(この時はすでに他界)、国内でも大手の証券会社です。

 まあとりあえず有名な証券会社なら、いきなり法外な投資を勧められて、うやむやの内に変な取引に導かれることもないだろう、という判断です。(昔は証券会社の係員に勧められて購入した株で大損したという話しもあちこちで囁かれていました)

 受付のお姉さんは、にっこり笑って、「それでは最初に口座開設の手続をしましょう」と言い、さまざまな書類を記入。口座管理手数料という、なんだか訳の分からない手数料を3000円ほど支払い、無事口座開設。

 で次は、「何か、購入したいのものがありますか?」という質問です。購入したいから証券会社を訪れたわけですが、「こんな銘柄はどうでしょうか?」というお勧めがあるのかな、と予想していたので、この問いかけは意外でした。

 そこで雑誌で得た知識を駆使して選定した銘柄を示しても良かったのですが、それじゃあ余りに主体性がないじゃないかという妙な見栄もあって、「この銘柄はどうなんでしょうか?」と私が提示した銘柄は、故人である父親の仕事に関連していた会社でした。

 数ある会社の中からどのように銘柄を選択するのか。もちろん業績やチャートや評判や新製品情報などを駆使するわけですが、それらの情報もまたたくさんあり、とてもじゃありませんが数千社の中から一つの会社を、確信を持って選ぶなんて事は出来ません。

 というわけで、どうしてもそれまでの人生で、自分に縁のあった銘柄を選ぶことになるわけです。


株を買って気になること 

 記念すべき初めての株式購入を、若干の興奮と共に終え帰路につきます。投資した金額は1000株単位の株で、当時400円ぐらいでしたから、これでボーナスの大部分が消えました。

 しかしその金額がいずれ増え、儲けが出ると予想していた私は、なんだか急にちょっとお金持ち持ちになったようで気がしていました。(今から考えれば、本当に幼稚な感覚で、世間知らずの甘ちゃんでした)

 というわけで、それからしばらくは新聞の株式欄についつい目がいきます。しかし選んだ会社は、堅実銘柄として選んでいるので株価もそれに準じてそれほど目立った動きはしません。

 最初は上下が激しい銘柄は避けた方がよいだろうという判断もあったのですが、他の銘柄が毎日のように10円だの20円だの上がっていく中で、時折思い出したように上がったり下がったりするだけで、いつしか最初の高揚感は失われていきました。

 それでも株を買った、という意識から、もっともっと株式購入について勉強するべきだという意欲だけは芽生え、いわゆる株式専門の雑誌や、大きな本屋さんでチャート入門とか、株式の変動要素、株式の格言みたいなものを購入し、乱読し始めました。


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