格差を広げて、弱者を切り捨てる?

日本の貯蓄率は2013年にマイナスになっていたようです(2015.10.16) 

 どの程度信憑性があるのか良く分かりませんが、タイの人と言うのは、貯蓄という意識が乏しいと指摘されていることが多いです。要するにあればあるだけ使ってしまうということですが、日本でも以前は「宵越しの金は持たない」という諺がありました。

 気風のよさや金離れのよさ、やせ我慢みたいなものだと思いますが、タイの人の場合は、そこに「マイペンライ」という国民性も絡むようで、要するに「どうにかなるさ」というような感じでしょうか?

 実際タイは1年中暖かいので、雨さえしのげて、暑ささえ我慢できれば、それこそテントで暮らしても立派な住居になりそうです。食べ物はそこそこ豊富にあり、かつての日本のように共同体意識も強いようなので、窮地に陥っても誰かが助けてくれると思っているのかもしれません。

 ただしタイも徐々に高齢化社会に向かっていて、寿命も少しずつ伸びていますし、バンコク等の都市部の発展は日本とそれほど変わりませんので、今後徐々に生活できなくなる高齢者が増える可能性があります。

 一方日本ですが、1億総中流と言われた時期を経て、かなりの人がある程度の文化的生活を享受できていたのですが、バブルの崩壊とともに少子高齢化社会が押し寄せてきて、格差が激しく広がっているような気がします。

 しかも1億総中流と言われた生活水準は誰もが維持しようとしますから、それを維持しながら、収入減に耐え、上昇した物価に対応し、社会保障費増や税金増に応えてきたため、結果的に貯蓄率が徐々に低下

 2013年には貯蓄率が遂にマイナスになったという統計も出ています。特にこの傾向は2000年代になってから強くなりましたので、それから15年経った今、すなわち働き始めて15年ぐらい経過している30代の人たちは、貯蓄が出来ないという苦境に陥っている可能性があります。

 だからこそ結婚にも及び腰になっているのではという見方も出来そうですが、だとすると少子高齢化社会はこの先ますます顕著になるはずで、子育て支援と政府が息巻いても、それは焼け石に水ぐらいの効果しかないような気もします。

 ちなみに主要国の貯蓄率で、ここ10年ぐらいで著しく低下しているのは、日本の他にイタリアや韓国で同様の傾向が見られます。イタリアの場合は、金融危機もあったので、なんとなく納得できますが、韓国も厳しいんだなと感じました。

 一方15年前の2000年に45〜50歳だった人は、今60歳から65歳と言う退職時期を迎えているわけですが、貯蓄率が低下した影響を受けているはずですから、思うように老後の資産が貯まらなかった人も多いと思います。

 私の場合は何回も書いているように、この頃に早期退職の可能性を意識していたので、老後の資産への関心があり、少しでも倹約した生活をしようと思っていました。

 しかしそういったことまで考えずに、なんとなく貯金が出来ないまま、不安に思いつつも貯まらないんだからしょうがない、と諦めつつ退職時期を迎えた人は、今後厳しい生活が待っているのかもしれません。

 とはいうものの貯蓄率がどんどん低下している今の日本で、ごく普通のサラリーマンがどうやって余裕資金を得るのかと言うのは、本当に厳しい問題だなと思います。

 ましてや、自分の責任ではなく、会社からの突然のリストラ通告や、家族の病気、親の介護と言った問題が重なると、普通でも貯まらない貯金を、さらに取り崩して生活するしかないようにも思います。

 そしてその先に待っているのはと考えると・・・・。毎日のように鉄道事故がニュースになるのも分かるような気がします。今の日本は、昔の村社会のように助け合う社会ではなく、格差を広げて切り捨てる社会になりつつあるような気がします。

 しかし解決策は・・・・・私には思いつきません。あえて言えば、少しでも早い時期に家計の現状を客観的に見据え、将来を予測すると言うことでしょうか?


表紙に戻る 資産の管理運用 退職者専用特別金利