金利の見方に注意

退職者専用の定期預金の注意点(2016.3.9) 

 新聞に、今年の3月に退職する方に向けた三井住友信託銀行の定期預金の広告が出ていました。金利はなんと1.4%と書かれています。普通の定期預金金利が0.02%ですから、なんと70倍。

 ここは思い切って一気に預けるかと思う人も多いと思います。私もそう思って、某銀行に6年前の退職時に退職金の一部を預けました。その時の印象というか、注意点をいくつかまとめておきたいと思います。

1 退職者向けの特別金利は、銀行によって大きな差がある

 そもそもなんで銀行がこんな割に合わない金利を設定するのかと言えば、少しでもお金を多く預けてもらい、さらに口座を持ってもらいたいという意図があるわけです。

 ただ面白いのは普通預金や定期預金の金利がほぼ横並びなのに、この退職者向けの定期預金金利は銀行によってかなり差がありますので、目先の金利に飛びつかず、十分調査をしたほうが良いと思います。

2 華々しい金利の数字には誤魔化しがある

 誤魔化しと書くと銀行関係者の方からおしかりを受けるかもしれませんが、多くの場合、派手な金利の数値の横に小さく三か月とか六か月と書かれていて、1年と書かれたものは少ないです。

 この場合、例えば1000万を1.5%の金利で預けた場合、通常15万の利息が付くと判断するわけですが、その計算根拠は1年預けたらという前提があります。

 ところが六か月という小さな数字があると、その金利を適用できるのは半年間だけですから、利息は7.5万円です。ましてや三か月と書かれていた場合は、4分の1の3.75万円にしかなりません。

 またその期間を過ぎると、いったん解約しない限り自動継続のような形になり、金利は現状の0.02%が適用されることになります。

 さらに言えば、この利息にも税金がかかりますので、実際に手に入るお金は利息分の8割弱になります。

3 投資信託と組み合わせると金利が高くなることに注意

 一般的に資金の半分を定期預金、残りを投資信託の買い入れに当てると、預金金利が高くなるような設定があります。金利が増えて、投資信託の価額も上昇すれば万々歳ですが、投資信託は買った瞬間に手数料が発生して、それが銀行の儲けになります。

 つまり何のことはない、自分で投資信託購入の手数料を払って、その手数料を金利の上乗せ分としてもらっているという構図になります。

 もちろん投資信託の価額が想定以上に上昇すれば大きな利益を得ることができますが、現状の日本の経済状態と銀行が設定している投資信託の内容をきちんと理解できる力量がないと、儲けを得るのは難しいような気がします。

4 高率の利率期間が過ぎたときに口座をどうするか

 1から3については私自身かなり熟慮をして退職金の一部を預金しました。しかし後になって、高率の利率期間を過ぎたときに、その資金をどうするかという事を十分考えていなかったことに気が付きました。

 利率の大きさにちょっと目を奪われてしまい、利便性の悪い銀行に預けたため、結局銀行の口座に資金が入れっぱなしになってしまい、効率的な運用ができなかったと反省があります。

 要するに、定期預金を設定したら、その資金をその後どうするかという事もちゃんと考えておかないといけないということです。


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