精神疾患で退職する教員が急増

 ちょっと前の7月29日金曜日(2011年)の朝刊1面に、「退職教員 精神疾患940人」という大きな見出しが出ていました。それによると、2009年度に定年以外で退職した教員の総数は34635人だそうです。この中の1名は私です。

 さらにこの中で、なんらかの病気で退職した全国の教員は1893人になり、そのうち精神疾患での退職者は940人だったそうです。

 さて、この数字を多いと見るか少ないと見るかですが、最初に何らかの病気で退職した教員数と言うのは、管理職がそのように認めた教員であって、認めなければそれは自己都合による退職とされているはずです。

 私の場合も自己都合と言うことで退職しましたが、実際には妻の病死によって父子家庭になってしまったこと、にも拘らず当時の仕事が教務主任と言う立場で、責任が重く仕事量が多かったこと.

 さらに仕事と家事で手一杯になり精神的に追い詰められうつ病になりかけ(医者では自律神経失調症と言われましたが)、やむなく早期退職の道を選ばざるを得なかったという事情があります。

 従って、現在の教育界では、自己都合と言いつつも、これでは身が持たない、このままいったら精神的に追い詰められることは間違いない、ということを予想して早期にやめていく教員が増えているということです。

 早期退職して感じますが、誰が好き好んで貯金を取り崩すような生活を選ぶでしょうか。自己都合とは言いますが、みんなそれぞれ悩みに悩んで退職の道を選んでいるはずです。

 それでは、なぜ教員に精神疾患が多いのか。新聞には慶応大の伊藤さんという教授のコメントが出ていますが、それによると真面目な努力家が多い、人に助けを求められない、鬱になりやすい、子供以外に保護者への対応に疲弊、というような原因があるとしています。

 これに対して対策は、一人で悩みを抱え込まない、学校外で相談できる場を設ける等があげられていますが、私の感覚とはちょっと異なります。

 真面目な努力家が多いのは確かです。また近年の採用試験やその後の研修内容をちらほら聞いてみると、教員の資質向上という名の下に、かなり厳格な管理体制がしかれ、真面目な努力家でないと教員としてやっていけないような体制が出来上がっています。

 従って、そこから生まれるのは、溌剌とした教員ではなく、県の指導に忠実で不祥事を起こさない真面目な先生が量産されているということです。

 その結果何が現場で起きているのかと言うと、管理職や部の長からの指示にはきちんと従い仕事をこなすものの、それ以外は自分から何もやろうとしない(できない)、という教員が生まれます。

 要するにお互いに助け合って教員集団としてまとまって生徒を指導していこうと言う意識が希薄な教員が多くなっていると言うことです。
   
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