高額療養費と医療保険

 ある程度の年齢になると、どうしても体のあちこちに疲れが生じますが、そこに精神的なストレス等が加わると、単なる疲労がいつの間にか病気に変貌していくような気がします。

 そこで「転ばぬ先の杖」のつもりで医療保険をかけたりするわけですが、ではいったいいくらぐらい必要なのかというと、死亡保険の場合は具体性があるので何となくイメージが湧きますが、医療保険の場合は多種多様な病気があるため、まったく見当がつかないことが多いと思います。

 何とかという病気で何十万、何百万かかるからそれに備えてどうたらこうたらと言われると、「そんなにかかるんじゃしょうがないから、少し多めに入っておくか」と考える人が結構多いはずです。

 そうゆう不安につけ込む?ように様々な医療保険についてのコマーシャルがテレビで流れています。人の健康不安を煽るようなコマーシャルで「不愉快だなあ」と思っているのですが、最近その比重がとみに増えてきたように思います。

 まあ団塊の世代の大量退職を迎えているので、それを見越しての戦略かと思いますが、30分ごとぐらいに、保険のコマーシャルが流れるのでいささか不愉快です。

 でまあそれはそれとして、じゃあ本当の所、どの程度の保険に入っていればいいのか、というのがよく分からない人が多いと思います。私も現役時代は結構適当に決めていました。 

 しかし私の妻の入院生活を通して、「高額療養費」と言う制度があることを知りました。この高額療養費制度は、普段は全く意識しなくても生活できますが、いざとなったとき頼りになる制度です。

 では実際にどのような制度なのかと言うことですが、長期の入院や保険が適用できる先端医療の治療を受けたときに生じる高額な医療費の自己負担分に上限を設けようという制度です。

 現行の制度は年収が200〜790万円の世帯の医療費の上限は約8万円以下となります。 正直なところ私は50代でそのことを知ったわけですが、生命保険や医療保険に加入するであろう30代や40代の時にもう少し勉強すべきだったと反省しています。

 つまり最先端の治療を受けて、その治療費が例えば1000万かかかったとしても、その治療法に保険が適用されていれば、一ヶ月に支払う医療費の総額は、上記の年収の方は8万円ぐらいとなります。

 (抗ガン剤等の最先端治療では保険が適用できない治療法を進められることもあります。この場合は基本的に全額自己負担なので、そのことを根拠にして、大きな額の保険に入ることを進める保険屋さんもいるようです)

 実際にはこれに保険が適用できない、パジャマ代や昼食代、また自分から個室等を希望すれば差額ベッド代が必要ですが、差額ベッド代はいらないとなれば、一ヶ月の医療費は10万ぐらいで済むことになります。

 従って医療保険の1日あたりの額は、入院1日に付き3000円あればぎりぎり、5000円あれば余裕、10000円なら差額ベッド代まで支払える可能性があります。

 ちなみに我が家の妻が1年半にわたって入院治療を受けたときに私が支払った医療費総額は200万ぐらい。月々8万円の負担プラス食事代や日常的な細々とした医療品、雑貨類で月20000円ぐらいプラスです。

 たまたま1日に付き4000円程度の医療保険に入っていたため、そのほとんどを保険で賄うことが出来たため、家計の破綻を逃れました。ただし経済的には持ちこたえましたが、日々の見舞い、家事、仕事が重なり、早期退職のきっかけになりました。

 しかし早期退職を決断できたのも医療保険に入っていたからだと思っています。
   
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