議論をしないで解散日程ばかり

政治家は自分の考えでまともな議論を(2012.10.19)

 沖縄の米兵による暴行事件は、遂に「全米兵の夜間外出禁止」という事態に発展しました。駐日大使が発表したわけですが、内容を聞いている限り日本政府よりよほど強い危機感を持っているように思えます。

 こういった発表がされたことで日本政府は「抗議した甲斐があった」と言うのかもしれませんが、実体は沖縄の方々の抗議の意志や県知事の強い憤りの気持ちを米側が感じたのだと思います。政府首脳からは正直なところあまり強い抗議の意志は感じられませんでした。

 しかしオスプレイ配備の問題は以前として残っていると思いますし、夜間外出禁止になったからといって、今後は米兵による事件は起きないとは言い切れず、まだまだ問題は根深いなと感じます。

 一方三党首会談が決裂、なんてことを新聞記事の1面で伝えていますが、そもそもなんで三党首なのか実に不思議です。国会運営を担っているのは、この三党だけでなく、今やたくさんの政党があります。

 にもかかわらず三党だけで話し合いをするという感覚が私には理解できません。しかも話の内容は「いつ解散するか」という日程上の問題だけで、山積みになっている議員定数や復興予算の使い道、上記の沖縄問題、さらには年金や原発、領土といったことがまったく審議されずに日程の話ばっかりです。

 今や民主党は田中防衛相の問題もあり、復興予算の使い道の問題も抱え、特例公債法案の審議も遅れ、定数も是正できないと様々な問題を抱えているだけですから、自民公明は解散の日程がどうたらこうたらと、この二ヶ月まったく変わらない、まるで小学生の駄々っ子みたいなことを言っていないで、国会で徹底的に民主党を追及して、議論によって年内に解散に追い込む、という気迫を見せて欲しいものです。

 様々な問題に対する党の方針、個人的見解をほとんど表明せず、ただただ「解散はいつだ?約束しただろう」と野田総理に迫っている様子は、「この前おこずかいくれると言ったじゃないか。もう二ヶ月ももらっていないよ」と叫びたてる子どもと同じレベルの議論だとしか思えません。

 なお、今頃になって今後の復興予算執行停止もあり得る、なんていうコメントが復興相から出されていますが、じゃあ「これまで執行した分はどうなるんだ、勝手に使った分はどうするんだ」と言いたくなります。

 年金問題が持ち上がったとき、勝手に福祉施設を作っていたとか、東京電力の問題では、専用の病院を作っていたとか、本来のお金の性質に見合わない目的でお金が使われ、大きな問題になりましたが、今回の予算執行はそれとまったく同じです。

 執行してしまえば勝ち、みたいな印象を受けます。予算の使い方の答弁を聞いていると、最終的な執行の判断は各大臣、副大臣、政務官に権限があるみたいですから、この方たちのチェック能力がまったく無かったと言うことになります。

 どうせ国民から集めた税金だ。復興予算とはいえ「日本再生」という一文がある限り、基本的にはどんな事にも使って良いはずだ。他の官庁だって執行しているじゃないか。なんていうような考えの元に、自らはまったく判断せず、官僚からの要望を認めたとしか思えません。

 今後25年間も払い続ける税金ですが、最初の年度の予算執行がこの体たらくでは、とても払う気になれません。納税の義務があることは理解していますが、それは納められた税金が正しく使われることが前提になっていると思います。

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