生物の進化の歴史と同じ?

覇権国家は長続きしない?(2012.12.12)

 今日は目についた(気になった)新聞記事が二つありました。その内の一つは「2030年 覇権国家なし」という見出しの付いた記事で、20年後の世界では、米国も衰退し、世界の覇権を握るような国家は存在しないという米国の研究レポートです。

 私は高校で理科を教えていますが、近年は専門の物理以外の化学、地学、生物というあらゆる分野の科目を教えなければならず、必然的に教えるための勉強しなくてはならないのですが、反面勉強を続けていると、その4科目は実に巧妙に関係しているなと感じざるを得ません。

 例えば1年9ヶ月が経過した東日本大震災の事を考えるとよく分かります。基本的には地学の知識があれば、地震や津波のメカニズムは分かりますが、津波が陸地に与える影響は物理的に考えないといけません。

 また原発事故が起きれば、これも放射線という物理の知識が必要です。さらに津波の生態系への影響を考えれば、化学や生物の知識も必要になります。

 ということで、すべてを教えなければならない辛さはありますが、その分教えることによって得られた知識も大きいなと感じています。

 で冒頭の話題に戻るわけですが、この覇権国家云々というのは生物や地学の進化の歴史に実によく似ているなと感じています。

 つまり特定の生命がある時期激しく繁殖するのですが、それは結局次の生命形態への橋渡しであって、さらに改良された、より環境に適応しやすい生命が生き残るということです。

 数学にフラクタルという学問領域があって、そこでは一つの図形の中に同じ形の図形が含まれていて、その形を更に細かく見ると、また小さな同じ形の図形が含まれている、という面白い図形で、そうやって定義された図形は実に興味深い形をしています。

 進化の歴史もこれと似ていて、例えばある時期ひじょうに大きな勢力を持ったであろうアノマロカリスやアンモナイト、そして恐竜が絶滅し、更にはいずれ人類?もと言うことになるはずです。

 また同じ恐竜の中でも、より生存に適した種類が生き残り、弱い恐竜はすぐに絶滅してしまいます。さらに同じ種類の恐竜であっても、体力のある恐竜が生き残り、弱々しい恐竜はすぐに淘汰されると言うのが自然界の掟です。

 つまり大きな種族での絶滅もあり、同じ種族内での淘汰もあり、さらにその下の小さな集団でも、より環境に適した方が生き残る、というのが進化の歴史でした。(まさにフラクタルだなと感じる部分です)

 現在人類は地球上に一つの種としてはびこっていますが、その中で随時覇権の交代劇が起きるというのは、進化の歴史とまったく同じです。そして一度衰退の道を歩み始めるとそれを食い止めるのはひじょうに厳しい、というのが自然界の掟であるようにも思います。

 と言うことは、すでに盛りを過ぎた日本の行く末は退潮のみ、という恐ろしい結果になるのですが、これは順に起きることであって、隆盛を誇ったイタリアやギリシャの退潮とかを見ていれば、いずれは日本もと考えざるを得ません。

 というわけで冒頭のレポートは、次はアメリカだという警告を発しているようにも思えますが、盛り上がって消える、と言うことが順次起きるならば、次は中国や韓国が一時的に台頭し、その後は東南アジアやそれこそ中米、アフリカ諸国という順番にもなりそうです。

 そしてその後どうなるのか?それが一番気になるところですが、もちろん私とは直接関係ない世代になっているはずで、今の所想像もつきません。


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