負担増を強いながら
物価を上げるのは不可能?

物価目標2%をどのように達成するのか?(2013.1.20)

 どうしても理解できないことがあります。それは政府と日銀がタッグを組んで、物価を1年に2%上昇させる方法です。土曜日の毎日新聞8面に『日銀「無制限緩和」議論へ』という記事が出ていました。この内容に寄れば、物価を上げるために

@ お金を使う人たちが近いうちに物価が上昇すると予測する「インフレ期待」を高める 
A 企業の投資や個人消費の拡大につなげたい

という、何だかよく分からない一種のムード作りを行った上で

@ 無制限緩和
A 付利(ふり)の撤廃

を行うことにより

@ (国債)残高を(減らさずに)維持する
A 価格変動の大きい「リスク性資産」の購入拡大についても検討 
B 超過準備預金につく金利である「付利」を現在の0・1%から0%に引き下げる

ということだそうです。しかし私の凡庸な経済音痴の頭では、借金はなるべく返済せず、リスクの大きい金融商品を購入し、スズメの涙しかない利息(銀行の利息とは性格が違うようですが)を引き下げる、ことによって物価が上がる、と言っているように思えます。

 経済が活況を呈することは誰もが望んでいると思いますが、先日の調査でもその経済効果による効果は、ほとんどの人が自分自身の賃金が上がることを期待しているわけで、物価が上がることを期待している人はほとんどいません。

 物価が上がることによって賃金が上がる、と考えれば良いのかもしれませんが、現状を見てみると、物価だけが上がって生活はより苦しくなる、企業は儲けたお金をどんどん貯金して資本に組み入れる、としか思えません。

 またほんの少し賃金が増えたとしても、現状の年金不信や自分自身の将来を考えたら、普通の人はその余剰資金を自己年金の資産形成に回すと思われます。

 物価上昇とは、あるものを買いたい人が多数いるから上昇する、と言うのが経済の基本原則であると、その昔高校あたりで学習した記憶があります。

 国がどんどん借金を重ね、銀行がどんどん国債を買い、企業が儲けをどんどん内部留保に回し、年金に対する不信は増加し、社会保障の費用は増大、若い方の人数は減少というような社会で、どうやったら物価が上がるのか?

 法律でこれこれの物価には最低価格を設ける、なんてことをやれば、見かけ上の物価は上昇するかもしれませんが、そんな商品は誰も買いませんから、結局その商品を売っている企業の採算が悪化することになります。

 あえて言うと、これからは物価が上がるから、必要な物は今買わないと手に入らないぞ、という疑心暗鬼になるような言葉を振りまいてムード作りをすれば、当面の上昇は確保できるかもしれませんが、きっとすぐにカラクリが分かってしまうでしょうね。

 本道は、賃金のアップと雇用の確保だと思うのですが、企業側の発想が遅れているように思えます。


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