いつのまにか民間と逆転?

公務員の退職金(2013.1.27)

 先日から話題になっている、埼玉県の教員の駆け込み退職の記事で、退職金の額が2700万円ぐらいになっているのを見て、驚かれた方も多いかもしれません。

 それについて、実態というか私自身の感想を少し書かせてもらいます。ちなみに大手民間企業の退職金の平均はそれよりも数百万少ないということで、退職金や年金の減額が問題になっているのだと思います。

 ある意味これも私にとってはラッキーだなと思っているのですが、私よりもちょっと前の団塊の世代はさらにラッキーだったような気もしています。

 つまりここ10年ぐらいで、基本給はどんどん下がっていますので、退職金の算出基準も下がっているわけです。また退職金そのものももらいすぎだという批判が出て、今回駆け込み退職の問題に発展しているわけですが、これから3年かけて400万ぐらい減るのだと解釈しています。

 結局公務員も、退職時期があとになればなるほど不利な条件になってきているというのが現場の実感だと思います。 

 ただし今年度の退職金については、あの金額が一般教員のほぼ満額だと思います。つまり23歳ぐらいで教員になり60歳まで37年間働いて得られる退職金です。教頭さんや校長さんになるとそれがさらに増えると思うのですが、実態は私も知りません。

 また校長と言っても、県の役職で言うと課長クラスということも聞いていますので、そうなると県庁職員さんで、部長等の上級職?で退職すると、もっと金額が増えるのかなと思っています。

 私が教員になった今から35年ぐらい前、最初の手取りは10万ぐらいでした。当時はバブルの時期で、公務員は薄給、民間は大もうけという時代で、同じように大学を卒業して手取りがいきなり2倍ぐらい違う、という実態に驚いた記憶があります。

 またボーナスも年間で五ヶ月ぐらいだったでしょうか。50万ぐらい。スーパーに勤めた友人のボーナスは100万を越していました。「まったくなあ」と思いつつ転職も出来ず、眺めているしかなかったです。一緒に飲みに行って肩身の狭い思いをしました。

 ところが1990年代に入ってバブルが崩壊。公務員の給料はそれほど下がらないのに、民間は不況で徐々に給料減少、派遣やパート、フリーターという業態が増えていき、公務員の給料がいつの間にか民間と同水準になったように思います。

 そして2000年代。給料が下がった下がったと公務員は叫び続けていましたが、実際には民間の給料はそれよりもさらに下がっていき、はっきりしませんがどこかの時点で逆転。それがはっきりと分かってきたのがここ数年でしょうか。

 給料や退職金をもらいすぎだという批判も多いと思います。ところが教員や公務員という世界は、民間の実態をほとんど知りません。従って民間に較べて高いか低いかという発想はあまりなく、今もらっている給料がこれまでの同年代の教員にくらべて高いか安いかと言うことだけが注目されます。

 そこで毎年「下がった下がった」と不満を言うわけですが、下がる度合いは民間の方達よりも少なかったのだと思います。

 ただ不満を言ってもスト権のない公務員の場合は、人事院勧告により給与体系が決まってしまいますので、多かろうと少なかろうと、それに黙って従うしかないというのが現場の感覚だと思います。


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