すでに40年以上経過している原発を
再稼働申請?

敦賀原発再稼働申請について(2013.7.12)

 あまり原発にこだわるつもりはないのですが、日本原子力発電敦賀原発再稼働申請に驚いています。先日も書いたように、私が原発について興味をもって調べ始めた頃、各地の原発のPR館には、原発は一度作れば30年間は使える。

 その際、廃棄物はこれから開発される核燃料サイクルで半永久的に利用でき、万が一そうならないときでもガラス固化による地中埋め立て等の廃棄方法が今後速やかに開発される。

 さらに、廃炉の方法についても今後様々な方法が開発され実行されるだろう、と言うようなバラ色の宣伝文句が並んでいました。

 しかし実際には当初30年と限ってきた原発の使用期間が40年に延長され、核燃料サイクルは頓挫、地中埋め立てはめどが立たない状況です。

 そんな中、敦賀原発1号機の場合はすでに40年を越しているようですが、それでも再稼働申請をするようです。

 しかも廃炉の道筋については、この会社は全く何も考えていないようですから、要するに半永久的に、福島原発のように大きな事故を起こして使用不能になるまで使おうと言う意図が見えます。

 通常の車のようなものなら、壊れれば後は廃車にすればいいわけですが、原発の場合は事故を起こして壊れたとなるとその被害がどれほどのものになるのか、社長という立場の人が分からないはずはないと思うのですが、どうも「そんなことは起こりえない」または「そんなことは考えたくない」と思いこんでいる印象を受けます。

 しかも規制委員会が、直下に活断層があって危険であるという見解を示したのに、電力会社側が独自に調査をして、活断層ではないと反論するのは、私から見ると不思議でしょうがないです。

 これだと、第三者の立場から何を言っても、すべて電力会社側が反論できることになってしまいます。

 国が原発行政の一貫として原子力規制委員会という立場の機関を作ったわけですから、本来ならそこで出される結論は国の意見だと考えることも出来るはずで、当事者が反論するのは何とも奇妙です。

 新聞には、再稼働が認められなければ会社の死活問題に直結するから、強気で申請せざるを得ないと書かれていますが、一つの会社を存続するためだけに、福井県民や日本国全体の放射線事故リスクを高めて原発を再稼働するというのは論理矛盾です。

 もしかしたら、結局は廃炉になるのかもしれないけど、その前に再稼働という「やる気」を見せて、それでも廃炉にせざるを得ないと国が言うなら、廃炉費用に関して補助金を出せといように迫るための布石かなとも思えてしまいます。

 いずれにしても、以前も書きましたが、国がもう少しきちんとした長期展望と、どういった場合に再稼働、どういった場合に廃炉という分かりやすいフローチャートを示すべきですね。

 しかしそうは思っても、今日の毎日新聞に陸前高田市の方が「政治家は生の声聞け」というメッセージを書いていますが、これを読むと今の政治家には無理なのかなという無力感に襲われます。


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