景気は波を打って変化します

フラクタル図形で景気を考えると(2014.4.12)

 フラクタル図形というおもしろい形をした図形があります。数学の幾何学の分野に該当する学問ですが、私も細かいことはよく分かりません。数学の専門家からすれば、あまりに稚拙な表現かもしれませんが、要するに大きな図形の中のある小さな部分を見ると、その大きな図形と同じ形をした図形になっているということです。

 しかも得られた小さな図形をさらに細かく見ると、やはり同じ形の図形が現れるということで、まあこの繰り返しはほぼ無限に行われると言うことです。

 面白いのは、こういった構造や考え方が、我々の日常生活の中に、当たり前のように存在していると言うことです。数学的にはきれいな図形となって表現されることが多いのですが、自然界の中では雪の結晶、雷の稲妻、樹木の枝等、大きなものの中に同じ形(構造)をした小さな図形が隠されていると考えられます。

 生物の世界でも、我々の体内を流れる血管の構造は、太い血管から毛細血管に至るまで、同じような構造が繰り返され、徐々に小さくなり、全身に血液を運んでいます。

 そうやって、大きな構造の中に、同じ形をした小さな構造が入り込んでいるという姿を思い浮かべるとき、それは別に具体的な形ではなくても日常生活の中に入り込んでいることに気がつきます。

 要するに、物事は大きなうねりの中に小さなうねりがあり、その小さなうねりの中にさらに小さなうねりがあると考えていくと、これは経済の動きも同じだなと考えることも出来ます。

 株式投資では、よく株価の動きをグラフで表しますが、それを何十年単位で見たグラフ、と1年単位、一ヶ月単位、1日単位と細かく区切ったグラフで見ると、もし時間の横軸が表示されていなければ、我々はどのグラフがどの時間単位を基礎にしているのかたぶん判別できないと思います。

 つまり大きな尺度で見ても、1秒単位の尺度で見ても、株価の動きは同じような揺らぎで動いていると言うことです。ということは、一般的には長期投資が有利だというプロのアドバイザーがいますが、その根拠も怪しくなります。

 経済は発展するものだという前提に立っているわけですが、経済は永遠に発展するわけではなく、実際には発展と衰退を繰り返すわけですから、長期投資もデイトレードも、投資という形態では、数学的には同じような価値しか持たないような気もします。

 くどくどと書いていますが、根底には、これからの日本はどうなるんだろう?という不安があります。今日の新聞では、原発を再び活用するという論調が強調されていました。

 一方その記事の横には、今後10年、20年度高齢者の一人世帯が増えるという恐ろしい現実も書かれています。

 安倍政権は躍起になって景気浮揚の雰囲気作りを行い、ついに景気回復の兆しが見え始めたなんて言っていますが、見え始めたぐらいでは、あくまで対岸の火事みたいなものです。

 フラクタル図形で考えれば、今は景気の底であり、ここから右往左往しながら徐々に上昇するという考え方もありますが、さらに大きな視野から見たとき、ちょっと上昇しかけたけど、実際には景気衰退の中の一時的高揚に過ぎなかったということになる可能性もあります。

 さてどうなるのか?超高齢化社会をどのように維持、発展させるのか。図形的には確かに分岐点に来ているような気もします。


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