株価対策にしか思えません

法人税減税と年金資金運用計画(2014.6.16)

 財源の見通しがほとんど立っていないのに、何故か 法人減税をやりたくてしょうがないようです。何回も書いていますが、個人には税負担を重くし、利益の出ている大企業の税金を軽くするという考えですから、「どうして?」と思わざるを得ません。

 口では、「経済環境は好転している。企業の利益も増えている」と言っているわけですあから、だったら毎年多額の国債を発行している国としては、むしろ法人増税になってもいいような気がします。

 個人の収入が多くなった場合は、その所得に応じて課税が強化されるわけですから、企業も儲けが多くなったら税金は増えてもいいのではと思われます。

 ところが自国の経済実態は無視して、他国の税率を引き合いに出し、「日本の税率は高い」というキャンペーンを行っているような気がします。

 都合の良い数値は他国と比較し、都合の悪い数値は日本独自の基準だと、理由を使い分けているようにも見えます。もちろん税率が下がることにより給料がアップするという可能性もないわけではありませんが、普通の経営者の発想は内部留保をさらに増やすということではないかと思います。

 というわけで、どうも論理的な矛盾があるなと感じてしまうのですが、その一方で、年金資金を株式で運用するという、その運用枠を広げようという動きが鮮明になってきました。

 先日の毎日新聞の記事に年金積立金管理運用独立行政法人の委員長さんが見解を述べていますが、それによれば現在の年金資金129兆円あるそうです。

 この129兆円の中の国内株式運用分は現在12%だそうですが、これを引き上げるということです。もし1%でも引き上げられれば、1兆円以上の巨額の資金が株式に投資されることになり、当然一時的に株価は上昇します。

 というわけで、最初に書いた法人税減税と、この株式運用枠拡大は実は連動しているのではと勝手に勘ぐっています。もしこの二つが実現できれば、15000円前後をウロウロしている日経平均はたぶん上昇。

 そしてこれまでの宣伝どおり、アベノミクスによって株式が上がり景気が好転しているという印象を持たせ、自民党政権を安定化させるという目論見があるのではと思えます。

 安倍政権になってからず〜っと感じているのは、ともかく株価上昇=景気は良くなった、という図式です。株価が上がるというのは具体的に数字に表れますので、一般的には分かりやすい指標だと思いますが、だからと言って個人個人の家計が潤うわけではありません。

 特に年金運用は、我々のお金の運用です。それを株式に投資して失敗しました。しょうがないので数年後から支給額を減額します、では済まされない問題を含んでいます。

 万が一失敗した場合の責任はどうなるのか?ひじょうに不透明です。


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