個人の暮らしを軽く見る政権

人を育てる事業にもっと支援を(2014.6.27)

 集団的自衛権の話題に振り回されながらも、その陰で少しずつ少子化対策について検討が始まったようです。子育て支援というのが柱のようですが、先日の新聞では教育費の高騰も取り上げられていました。一方で中学校教員の労働環境が他国に比べてかなり悪いという記事もありました。

 教員は基本的には教育に身を費やそうという良心的な人たちの集まりであると信じています。しかしその良心にのみ依存して、職場環境は私が教員になった、40年近い前とはずいぶん変わったなと思っています。

 変わった原因は、「教員は長期休業中に遊んでいる」とか、「研修なんかしていない」という批判から始まったような気がします。

 実態は教員社会に入ってみないと分かりずらいと思いますが、新聞記事にもあったように、生徒の学業以外の資質を伸ばすと言う目的のために、部活動に力を入れる学校が多くあり、必然的に土日勤務は当たり前という状況が続きます。

 私自身、30代40代は土日もほとんど出勤し、通常の日も学校を出るのは8時過ぎと言うことが1週間のうちに何回もありました。

 そういった日常の忙しさは、教員のある意味ボランティア精神で支えられていた(教員に残業手当はありません。その代わりになる特別手当はありました)わけですが、そういった側面には目をつぶり、長い夏休みに遊んでいる教員がいるというキャンペーン?で、徐々に管理体制が厳しくなっていったような感覚があります。

 しかし各国の勤務条件を比べてみて忙しさが分かったと言う記事は、教員間では当たり前の事実として受け止められていると思いますし、目に見える利益を生み出さない教育への予算は、自民党政権ではいつも後回しにされいる印象があります。

 本来なら一クラスあたりの生徒数を少しでも減らし、教員の人数を増やし、部活動には専門家を入れ、事務処理は事務の人が専門に行い、教員は教科指導に専念するというのが理想だと思いますが、現状はすべて反対方向に進んでいるように思います。

 わずかに改善されたものは、1クラスあたりの生徒数ですが、これは少子化に伴って自然に生じたもので、政策的に行われてきたようには見えません。

 しかも減ったと言っても45人が40人になったと言う程度ですから、他国に比べると明らかに多いです。こういう都合の悪い数字はあまり表に出さず、法人税は他国の方が低いという安倍政権の言い分を聞いていると、まったく身勝手な言い分だなと感じてしまいます。

 さらに最近は年金が65歳に繰り下げられる関係で、65歳までは希望すれば働けると言う法律が出来、現場には私も含めて60歳以上の教員が増えています。

 60歳以上の者にとってはありがたい制度かもしれませんが、今まさに正規教員として働いている現場の先生の負担は、60歳以上の教員の仕事分担が限られるために、その分もカバーしなくてはならず、さらに忙しくなっています。

 そういった実情の中で50代になると早期退職を考える人も増えています。精神疾患で鬱になり、学校に来たり来なかったりというのを繰り返している先生もいます。

 国にお金があれば、教育にもっと金を回して欲しい、というのが現場の先生の切実な願いだと思いますが、株価対策のために法人減税はやっても、教員の負担は今後も増やすという方向に向かっています。

 他の民間企業でも厳しい労働条件にさらされている方はいると思いますので、教員だけが・・・というつもりはありませんが、今の政権は集団自衛権以外の経済分野では、株価しか見ていないようで、個人の暮らしや生計が軽く扱われているように思われてしょうがないです。 


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