物価が上がっても
賃金が上がらなかったら

年2%の物価高に対処できるか?(2013.1.6)

 年初から、強力な金融緩和を推し進めるという阿部政権の方針を反映して円安になり株高基調になっていますが、これが順調に進むと年2%の物価高も進むことになります。

 物価が上がれば、それを購入するために必然的に給料も上がり、その結果経済の歯車が回転し景気が良くなるという考え方もありますし、その前に円安基調により経済が好転すれば株高となり、投資をしていた人の懐が潤うので、その人達が消費行動に走り、これまた景気が良くなるということも考えられます。

 どちらも基本的には成長する国家の経済としては当たり前のことですが、一方で日本は何十年もデフレ経済下にあり、パートやアルバイト、派遣労働と言った雇用形態が当たり前の世の中になっています。

 問題なのは、こういった方々の給料は物価が2%上がったとしても、すぐに給料に反映されない、ということです。

 今ですら中小零細企業は、会社の形態をなんとか維持しようと四苦八苦しているはずで、そういった環境で経済が好転してきた場合、最初に経営者が考えるのは会社の債務を減らすことであり、その次に来るべき好景気に備えて設備投資を増やすことだと思います。

 経済が活況を呈するための当たり前のステップだと思いますが、実際には企業が体質を改善するためには時間が必要ですから、その間そこで働く労働者の方の賃金は上がらないということになりそうです。

 ということは、物価は上がっても給料は上がらないという厳しい状況が何年間か続くことになり、生活が厳しいなと思って苦労している方は、ますます辛い生活を強いられる可能性もあるわけです。

 テレビのニュースでは、元小泉首相が「改革には痛みを伴う」と叫んでいる姿が放映されていますが、急激な円安、急激な物価高は、低所得者層に大きな痛みを与える可能性が大きいと思います。

 とはいうものの、ではこのままデフレ経済が続けばいいのか、と言うことになると、日本国としての将来を考えると、借金だけが増え続けるように思い、その先には不況より始末の悪い国家の破綻という恐ろしい現実も控えているような気がします。

 となれば一時的に大きな痛みを伴うものの、成長戦略が描ける国家像にしないといけないということなのかもしれません。

 しかしこれから年金をもらって暮らそうとか、60歳から65歳までの年金空白期間をどうやって乗り切ろうと考えている世代からすると、現状よりさらに厳しい世界が来ることは間違いなさそうです。

 個人的には、避けられない荒波であるならば、正面切ってぶつかるか、何とか回避するか、どこか手薄な部分を見つけてすり抜けるかの選択肢しかないような気もしますが、個人として正面からぶつかるには(例えば起業)、年齢的に余りに厳しい。

 かといって回避する(海外移住?)のも、これまで調べてきたようになかなか難しい部分があります。とするとなんとかうまくすり抜ける方法しかないわけで、それは結局支出の見直しと、本来の仕事とは別の副収入を考えざるを得ないだろうなと思っています。


表紙に戻る 退職後の家計 プチリッチなお気楽生活