夫婦二人の世帯で1300万が不足?

総務省の世帯属性別家計収支報告書を見て(2014.5.18)

 総務省の家計調査の世帯属性別の家計収支の報告書を見ています。

 最初に書いてあるのがエンゲル係数。予想通りといえばその通りですが、一番少ない年齢層が30歳未満20%ぐらいです。家計支出の中の食費が占める割合ですから、要するに独身者が多いと思われるので、必然的にエンゲル係数も下がると言うことだと思います。

 実際その後年齢と共にエンゲル係数は増加。ただし40代が23%なのに対して50代だけは一時的に若干低くなって22%。これは子育てが終わりつつ、なおかつ給与収入が一定の割り合いで増えているため、相対的に低くなったんだと考えられます。

 その後は再び上昇に転じ、60代は24.5%。70代は26%となっています。当然ながら60代からは年金が主な収入になりますから、食費の割合が増えるのはしょうがないのかなと言う気がします。

 逆に言えば、昨今取りざたされている消費増税の影響が生死の問題に発展する可能性のある年代が高齢者であるといえます。

 さらに見ていくと勤労者世帯の年収別の実収入というグラフがあって、年収が低い順から5段階に分けられています。これを見ると、どうやら収入が全世帯の平均的な収入より少ない世帯では、昨年度比実質減少で、平均より多い世帯ではわずかながら増加という結果になっています。

 つまり今のところアベノミクスの効果?は、年収がもともと多かった層に恩恵があり、少ない層はむしろ実質的な収入が減っていると言う結果になっています。(2014年になって、賃上げ等の効果がもしかすると出てくる可能性もあるので、この差は減るのかもしれません)

 そう考えると、デパートで高級品が売れたとか、高級車の販売が好調と言うのも理解は出来ます。しかし理解は出来ますが賛成は出来ません。

 さて最後のほうにようやく私が関心を持っていた内容が出てきました。世帯主が高齢無職の世帯の家計についてです。60歳以上が対象だそうですが、実収入は180808円だそうで、前年比0.1%の減少、実質0.6%の減少だそうです。

 内訳は年金が減ったことによる影響が大きいようです。一方予想通り税金や社会保険料の平均は月23844円で、前年比名目2.8%の増加。

 つまり収入は下がり、一方的に取られるお金は増えているということです。これに実際の平均的な消費支出210660円を加えると、234504円となり、差し引き53696円の赤字だそうです。

 この赤字は、当然貯金等の目減りを意味していますから、このままの状態が20年間続けば12887040円となり、簡単に言えば約1300万円の貯金が無いと、平均的な生活が維持できないと言うことになります。逆に言えば1300万で80歳までは何とか食いつなげるということにもなります。

 その意味では、これから高齢者の仲間入りをする人は、働ける間は働くという考えに傾かざるを得ず、また60代以降のライフプランの構築が不可欠であるように思います。


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