家計調査報告から分かること

実質収入減、消費も減、経済活性化は?(2014.11.15)

 円安進行で116円台。今後ますます輸入製品の値上げが激しくなりそうです。そもそも円安が進行している理由は、日銀の大規模金融緩和が引き金になっていると思われますが、先日の新聞では、企業にとって居心地の良い為替水準は105円前後であるなんていう、今頃になってピントの外れた記事が出ていました。

 もしその水準の居心地が良いなら、一体何のために、誰のために円安になることが分かっている大規模金融緩和を行ったのか?結局株高の演出にしか思えません。

 一方、昨日11月14日に総務省統計局が2014年の「7月から9月の家計調査報告」を発表しています。最初のページに結果の概要が出ているので、これを見るだけでもショックを受けます。

 先ず1世帯あたりの一ヶ月平均の住居費等を除いた消費支出ですが、単身も二人以上の世帯も含めて207298円だったそうで、名目0.9%の減少。実質4.7%の減少。

 ついでに名目と実質の違いについて調べると、名目は実際の価格、実質は物価変動の影響を取り除いた数値となっていますので、要するに全体として消費額はわずかに下落。

 しかし消費増税分の値上げを考えると、消費の実額部分はさらに減っている、つまり一層の節約を心がけているということだと思います。

 ではそれに対して実収入はどうなっているのか?平均は432598円。大きな金額ですが、これも名目0.9%の減少。実質4.7%の減少だそうで、支出の減少幅と見事に一致しています。

 実際の消費額よりかなり大きいように思えますが、たぶんこの差額分は税金や各種保険料、貯蓄に充当されているのだと思います。

 ということは、アベノミクスによる賃金上昇というのは、本当に一部の大企業だけ(国家公務員の給料は少し上がるみたいですが)が恩恵を受けているだけで、他の企業の給料は上がるどころか下がっているというのが実情だということです。

 だからといってアベノミクスは失敗だったと、単純に成功か失敗かで判断するのも子どもっぽいなと私は思っていますが、現実に生活が厳しくなっていることだけは間違いなさそうです。

 安倍政権の行った政策は、ともかく市場にお金を供給すれば、企業が活性化し賃金が上昇、さらに株高で資産が増加、それによって消費が活発になり景気が良くなる、という主旨だった様な気がしますが、金を供給しても誰も借りず、製品を作ってもたいして売れず、株で儲けても利益は企業の内部留保や老後の資金となってしまっては消費も増えず、結局にっちもさっちも行かなくなっているというのが現状でしょうか。

 だからといって何もしなければ、国の借金はますます増えることも間違いなく、これまた国の存続という問題が絡んできます。
 
 さて国のレベルでは総選挙という制度により、これからの国の政策を選挙公約に委ねるようですが、個人レベルでは家計をどうするか?今後も円安傾向は続きそうですから、私は段階的に少しずつ外貨の保有額を増やそうと思っています。


表紙に戻る 退職後の家計(2) 家で少し豪華に