手数料と信託報酬の額に注目

投資信託を選ぶときの、私の判断基準(2013.10.29)

 当たり前ですが、お金を簡単に一挙に増やす方法はなかなかないもんだなと思っています。

 もともと10億円ぐらい資産があれば、それを株式に投資すれば、1%の配当だけで1000万になりますから、普通の生活をしていくことが出来ます。

 しかし10億円あれば、わざわざ株式に投資しなくても、毎年1000万ずつ食いつぶしても100年かかる事になります。

 つまり使い切れないほどお金を持っていれば、お金は自然に貯まっていくということで、大金持ちと庶民の差は永遠に縮まらないような気もします。

 それはそれとして、積立よりも有利な資産形成として、マネー雑誌では投資信託を勧めることが多いようですが、基本的には投資信託も株式投資を主に行っているわけで、銘柄が分散されるという利点がある物の、株価が下がれば損をします。

 そもそもマネー雑誌では投資信託はプロが運用しているので、素人でも簡単に儲かるようなニュアンスで書かれていることが多いですが、それでは現在の日本にいったい何本ぐらいの投資信託があるのかご存じでしょうか?

 私も知りませんでしたので、この記事を書くに当たって調べてみると、何と4000を越えているそうです。

 ではいわゆる株式投資の対象になっている、東証1部や2部といった上場企業数は何社あるか。こちらは2300社ぐらいだそうで、企業を選別するよりはるかに投資信託の選択肢の方が多くなっています。

 どうしてそうなるかといえば、要するに投資信託は様々な企業の株や債権を自由に組み合わせて作っている商品だからです。

 例えば上場企業が5社しかなくても、その5社から3社を選ぶ組み合わせは10種類になります。ましてや2300社から自由に100社選んで投資信託を作りなさいといなれば、その組み合わせ数は天文学的な数字になります。

 そこへ持ってきて、投資信託を販売する会社の思惑は、ともかく売って手数料や信託報酬を稼ぎたいということであり、そのためになるべく話題性のあるセンセーショナルな宣伝文句と投資家が好みそうな名前を付けることになります。

 ともかく嫌な言い方ですが、売ってしまえば継続的にお金が入るわけで、その後利益が出ればさらに売り上げを伸ばす材料にして、伸びなければ「全体の相場が低迷していますから、その影響を受けて・・・・」と言っていれば、責任は逃れることになります。

 一方投資家側が投資信託を購入する理由は、自分で銘柄選びをするのは難しい、プロに任せれば大丈夫だろう、分散投資をプロが行ってくれる、投資信託なら簡単に儲かる可能性が大きいと考えています。

 その結果、実際に購入してグングン基準価額が上がれば万々歳で、後はどこで売るかというタイミングだけの問題になり、そのタイミングをうまくつかむかどうかは投資家自身の判断によります。

 うまく儲けが出れば、「これならいける」とまた次の投資信託を購入することになり、失敗すると証券会社側の説明の通り「全体の相場が悪いからしょうがないや」と自分を納得させることになり、後はじっと耐えて持ち続けることになります。

 その間販売側は口座管理料や信託報酬を受け取ることが出来ますから、ともかく解約されないようにいろいろと理由をつければよい、ということになります。

 つまり購入時に購入手数料を払って、さらに口座を維持しているだけで信託報酬を払い続けることになり、基準価額がまったく変動しなくても、預けた資産は少しずつ減っていくという商品です。

 ただしそういった手数料や信託報酬以上に実際の基準価額は大きく変動しますので、たまたま安く買えて、高いところで売ることが出来れば当然大きな利益が出ます。(これは単一企業への投資とまったく同じです)

 というわけで、今日の記事の結論です。投資信託を購入するなら、少なくとも手数料や信託報酬が極力低い物を選んだ方がよい、と言うことです。


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