住宅ローンを借りる

 住宅ローンは、借りるときは大丈夫だろうと思っても、その後の生活でどんな変化があるかまでは予想できず、まあたぶん大丈夫だろう、と予測して借りるわけです。

 私が今住んでいる家は1軒家です。家を探し始めたのはバブルの頃で、住宅価格は軒並み上昇。今買わないとこれからはもっともっと高くなると言われていた時です。

 ところが手持ちの資金と実際の不動産価格を見比べると、どう考えても購入は不可能のように思え、これは地道に頭金を貯金するか、一生賃貸住宅に住むしかないなと諦めていました。

 しかし1989年頃バブルが崩壊。それと共に不動産価格がずるずると下落。

 面白いもので、今住んでいるすぐ近くに実家もあるのですが、これは今から35年ぐらい前に建てたものです。

 敷地が50坪、建坪が25坪ぐらい。駅から15分とまあまあの条件で、購入価格が1700万(土地は坪20万ぐらい)ぐらい。しかしバブルの頃は周辺の土地価格が坪80万を越しましたので、売却すれば儲かるなと思いました。

 とはいうものの、売却して儲けてもそのお金でまた高くなった別の物件を買わないと生活できませんから、結局いつ売ったり買ったりしても、不動産で儲けるのは難しいんだなと感じていました。

 で私の場合ですが、バブルがはじけた5年後ぐらいに購入しました。細かいことはすでに書きましたが、実家の近く、小中学校が近い、自然が残っている、駅まで15分以内、区画整理された土地で、出来れば東南角、建物に面した道路は6m以上で、等々、様々な条件をクリアしたのが今の家です。

 バブル時代に高額の物件を横目で見ながら、それでもコツコツ頭金を貯めていたのが良かったのだと思います。しかし実際にはそれ以降も土地価格は下がり続けていますから、さらに待って貯金をしていれば、もっと大きな家に住めたなあという若干の悔いは残っています。

 ただ当時は、いくら何でもそろそろ土地価格も頭打ちだろうという読みがありました。(これは見事にはずれました)ちょうど子供が生まれるという条件もありましたので、時期としてはやむを得なかったかなと今でも思っています。

 その時借りた金額が3300万という大きな額でした。私自身、借りた当時は自分の給料が右肩上がりに上がっていくと信じていましたので、最初は苦しくても、いずれぐんぐん返済は楽になるだろうと予想していました。

 しかしこれも見事にはずれ。現実にはその数年後からベースアップを繰り返しながら減給が続き、実質的に給料は頭打ちになり、いくら返しても生活は楽にならないという状況が続きます。

 当時の年齢40数歳の頃です。ローンの内訳は、今ではあまり覚えていないのですが、住宅金融公庫、銀行、職場の三つで、それぞれ3分割ぐらいして借りた記憶があります。

 銀行からの住宅ローンでは、固定相場か変動相場かの選択を聞かれました。当然変動相場の利息の方が、返済金は安いのですが、その後金利が上がると突然負担が重くのしかかる事になります。

 ローンの設定は1995年前後だったと思いますが、たしか変動で3.8%、固定で5%前後だったでしょうか。要するに、ローンを借りてから金利が上がると思えば固定相場、下がると思えば変動相場という選択になると思いますが、私は当時の不景気の状況から考えて、変動を選択。

 銀行マンは固定を選んでもらいたかったようで、盛んに将来はどうなるか分からないと言っていましたが、結果的にこの選択は正解でした。

 返済が始まった頃は子供が生まれたばっかりで、生活費は夫婦二人分だけで済んでいましたが、子どもが成長するに従って必要経費が増え、教育費がのしかかって来ることも予想できます。

 先々を考えると、子どもが公立の小学校を卒業するまでの、生まれてから約10年ないし公立中学校卒業までの間が貯金や繰り上げ返済をする時期だなと感じていました。

 (実際には中学生ぐらいから食費も増え、さらに3年生になると塾通いも始まり、生活費はどんどん増えていきました)

 しかし高校になるとさらに費用が膨らむことは目に見えています。そう思った辺りから、生活費の切りつめを本気で考えるようになっていきました。


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