快活な笑いが少ない社会

2017.3.21

 国連が20日に発表した世界幸福度ランキングに寄れば、第1位はノルウェーだそうで、その他デンマーク、アイスランド、スイスが上位だそうです。

 また5位以下はフィンランド、オランダ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、スエーデンだそうで、残念ながらアジアの国は皆無。

 米国は14位だそうで、その他の国で目につくのはドイツ16位、イギリス23位、フランス32位、イタリア50位となり、日本はさらに下位の53位。さらに中国は79位、インドが118位だそうです。

 日本はもっと上位だろうと釈然としないものを感じる方がいるかもしれません。私もそんな気がするのですが、判断基準は一人当たりの国内総生産、社会的支援、健康寿命、社会的自由、寛容さ、汚職のなさといった内容が基準だそうです。

 だとすると日本が他の国より劣っているのは何だろうかと考えるわけですが、他国よりも著しく劣っていると思える項目があまり見あたりません。

 ただ北欧諸国が多いという事から、福祉という点がいまいちなのかなという気はします。要するにこれまでの自民党政権が行ってきた、ともかく経済さえ豊かになればよいという考え方が袋小路に入ってしまい、そこから抜け出せていないということです。

 結局人間の幸せ度は、そこそこのお金があって、ごく普通の質素な生活が保障されて、家族と一緒に楽しく暮らすことができるというのが一番なのかもしれません。

 だとすると、常にあれを買え、これを買えとテレビで広告ががなり立て、一方で少子高齢化で家族がどんどん分断されてしまっている現状は、本来の幸福度から離れてしまっているのかもしれません。そう考えると53位もやむを得ないかという気になります。

 しかしだからと言っていきなり北欧諸国に転居しても幸せになれるとは思えません。まあ上記のランキングは国のランキングであって、そこで暮らしている個人の幸せ度ではないという事が大きいですね。

 下位に位置付けられた国であっても幸せな気持ちで暮らしている人は多いはずです。逆に上位の国であっても不満を持って生活している人もいるはずです。
 
 だとすれば自分にとって幸せとは何かを一度考えてみる必要がありそうです。ただあまり人生の目的とはとか、何のために生きるのか等、真剣かつ大上段に振りかぶらないで、もっと気楽に考えてもいいのかなという気がします。

 ちなみに改めて振り返ってみると、最近「笑点」以外大口を開けて笑った覚えがありません。街中を歩いていても大声で笑っている人や、歯を見せて快活に(なんかこの言葉も今や死語でしょうか)過ごしている人も見かけなくなりました。

 社会全体が秩序正しく、生真面目で、冷静に、そして慎重に振る舞っている人が多い気がします。だからこそテレビの紀行番組で、レポーターが地元の人と笑顔でやり取りをして、大声で情報交換している姿が好ましく思えるのかもしれません。

 笑いを失った社会には余裕がないように思えます。誰もがいっぱいいっぱいで、必死に自分の生活を死守しているというイメージが浮かんでくるのですが、それが53位の根拠と言えるのかもしれません。


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