軽減税率の行方と高額所得者の所得税

高額所得者の最高税率を45%に(2013.1.8)
 

 阿部政権が本格的に動きはじめました。正直なところ内閣の顔ぶれを見ると、一部この人で大丈夫かな、と思える人もいないわけではありませんが、総じて民主党の代わり映えしない、またはほとんど聞いたことがない人達の内閣に較べると、多少は重厚感があるなと感じています。

 この3年間、自民党は自民党自身の失策により政権を奪われたというのが大方の評価だと思いますが、その意味では、自民党にとっては良い薬になったのかなと思えます。

 まあだいたい新しい政権の出だしは、いろいろ格好良いことを言い、またスピード感溢れているように見えるのですが、実際に運営が始まってみると、最初の意気込みはさまざまなしがらみにより徐々に失速していくと言うのがいつもの流れです。

 今回は夏の参院選という試金石が控えているため、この八ヶ月ぐらいは、「やるぞ!」という意欲を見せてくれると思いますが、「やるぞ!」の中味が公共投資ばかりでは、昔の自民党政治となんら変わらないような気もします。

 今日の新聞には、所得税の最高税率を40%から45%にしよう、という検討を始めたことが報道されています。金持ちなんだから当然だ、と言う気もしますが、対象になるのは現行の税率で見ると年収が1800万超となっていますから、実際に私が金持ちで、年収2000万程度だったら、単純計算で40%は800万、45%は900万ですから辛いなと感じると思います。(様々な控除があると思いますので、実際の計算とは異なるはずです)

 それでも所得税を納めたあとの所得は1000万以上ありますから、普通に考えれば豊かな生活は出来ます。またこういった人たちにいっぱいお金を使ってもらわないと経済が好転しないという議論もあります。

 一方年収300万程度ですと税率は10%ですから単純計算で所得税は30万。残りは270万。この金額で住宅費または住宅ローン、さらに教育費を負担するのは相当な苦労だろうなあと思えます。

 新聞では軽減税率のことも書かれていますが、来年からの実施を自民党は渋っているような雰囲気を感じます。しかし低所得者層にとっては、食費に回すお金がどんどん減るというのが現状ですから、なんとかうまくまとめてもらいたい物だと思います。

 ちなみに何回も書いていますが、一人親で子育てをする場合、特に母子家庭ではパートの仕事しかできない場合も多く、時給800円で必死に一ヶ月働いても現状では月収15万ぐらいにしかなりません。

 私が今非常勤講師で勤務している学校の保護者達にそういった方の割合が多いのですが、その結果ほとんどの子ども達は高卒で就職しています。

 しかし中にはその親が失職したり、そもそも働く気がなかったり、祖父祖母の年金で暮らしていたりする家庭もあるようで、在学中に生計を維持するためにという理由で学校を辞めていく子もいます。

 それに対して教員は、高卒の資格だけでも取れれば後々の就職に有利だという事が分かっていても、家の事情だと言われると、そういった説得も出来ず、無力感を覚えつつ退学願いに印を押さざるを得ないということも頻々と起きています。

 何回も書いていますが、子ども達が学校生活に没頭できるような社会体制を作らない限り、少子高齢化は今後も進んでいく可能性が大きいです。

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