生活科学の知識が大事です

料理はある種の理科実験です(2013.11.15)

 この11月で早期退職をして3年8ヶ月になります。その3年前の6月から連れが長期入院となり闘病生活を送ることになりました。従って父子家庭生活はすでに6年以上続いていることになります。

 6年8ヶ月前の息子は中学に入学したばかりで、連れの入院と共に朝の弁当作りや、食事の準備をせざるを得ない状況に追い込まれました。

 学生時代自炊生活を送っていたことがあるので、炊飯器の使い方等、基本的な事は出来ましたが、学生時代と違いフルタイム勤務ですから、仕事と家事、病院への見舞いが重なり、その後の2年間は大変な思いをしました。

 当初は仕事帰りにスーパーで惣菜や、すぐに食べられる豆腐や刺身を買ったり、せいぜいがちょっと焼いて食べることが出来る焼き肉程度しかおかずの準備をすることが出来ず、私はともかく息子の栄養に良くないなと考えていました。

 やがて闘病生活が長引くことがはっきり分かり、私もこの自炊生活が長期になることを覚悟し、先ずは台所用品を私が使いやすいように並べ替え、冷蔵庫の中身を整理、食器棚の中を取り出しやすいように整頓、というように環境を改善。

 その後自宅にあった料理関係の本やネットでレシピを検索。少しずつ料理のレパートリーを増やし、単に焼くだけでなく茹でる、煮る、油で揚げると言う料理を増やしてきました。

 連れは闘病の甲斐なく2年後に他界。私はその1年後に体調不良で早期退職。息子は無事高校入学。その後は落ち着いた生活になり、スーパーで安い物を探し、その安い物に対応したおかずを考えることも出来るようになり、外食や惣菜が減り、食費もほんの少しですが減少。

 最近、料理は私の仕事である理科実権に似ているなという感想を持つようになっています。みそ汁一つとっても、お湯の中に野菜を入れるとビタミンCが溶け出すとか、味噌汁はコロイドだなとか、ダシの成分は何だろうとか、考えてみるとすべて理科に直結します。

 油の温度は280℃と書いてあったりすると、大変な高温だけど、水と違ってあまり蒸発しないな、これは沸点の問題かなとか、油で揚げるというのはタンパク質の変性か等々、理科的に料理を考えると興味は尽きません。

 生活科学と言われている分野の内容かなと思っていますが、どうせやらなければならないなら、楽しまないと損だなと思っています。 

 昨日は6月に収穫したジャガイモの残りを茹でて柔らかくして、炒めたみじん切りのタマネギやひき肉と合わせて、ポテトコロッケの中身みたいなモノを作りましたが、ジャガイモをあらかじめ切って水にさらしてからレンジで軽くあたため、それから茹でると、単に皮を剥いて茹でるよりもジャガイモがすごく滑らかになることに気がつきました。

 理由はよく分かりませんが、水にさらすことによって余分な成分が抜けたり、レンジで加熱する事によって内部までゆであがりやすくなったためかと思えます。こんなところにも物理や化学が潜んでいるなあと、内心苦笑いしながら料理を作っていました。

 ちょっとした工夫で味が変わるというのは不思議な現象です。塩ひとつまみを加えるか加えないかでも味は変わります。その事に気がつくと、今度は生物で言うところの味覚にも関心が出てきます。

 野菜の成分が気になってくると、今度は土地の栄養分も気になり、最終的には地学に直結します。こんな事も生徒に伝えられると良いなあと思っています。
   

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