年金支給年齢引き上げの見直し論議

 厚労省が2011年10月11日年金支給年齢引き上げの見直し議論を始めたという衝撃的なニュースが報道されています。

 これまでの予定を引き伸ばし最終的に支給年齢を68歳にするというのが趣旨のようですが、これはとんでもない改悪案ですね。一番ひどいのは年金支給を当てにして生活設計をしていた現在の50歳代の勤労者を直撃するものだからです。

 例えば現在54歳の方は、現状なら厚生年金は63歳から支給されるので、もし定年が60歳なら3年間をなんとか自力でやりくりできればよいと考えていたはずです。

 ところがそれがいきなり65歳に伸びてしまえば、その途中の2年間の生活費をどこから捻出するのかという、生活の危機が訪れます。

 政府やお役所の皆さんは60歳以上の人も充分働けると考えているようですが、55歳以上の職探しはとてつもなく厳しいですし、働けるとはいっても30代、40代の方に比べれば、明らかに体力は落ちています。

 この年代は自分自身の健康も心配になり、さらに自分の親の介護の問題もあります。その時期に、一度決めた約束を反故にして不利な設定をするという無謀な考え方を到底許すことは出来ません。

 役所の都合で、数年毎に生活設計の見直しを余儀なくされたのでは、将来設計もままなりません。なんだか年金制度はどんどん破綻していくようで、私は段々もらえるものはさっさともらっておきたいと思うようになっています。

 老齢年金は私の年齢では本来65歳支給なのですが、繰り上げも出来るので(減額されますが)今どうしようか悩んでいます。しかし早い者勝ちで年金のたくわえを食いつぶすという発想もどうかと思ってはいますが、今後はこのような考え方が増えると思います。

 そもそも年金の運営自体が、適当に記録し、そこに金があるから職員の厚生施設もつくってしまおう、なんていう発想で行われていたわけですから、それだけで業務上横領の罪にあると思うのですが、実際に罪に問われた人はいないように思えます。

 金を払う側からすれば、特にサラリーマンの場合は、将来の年金の原資になるからと言うありがたい言葉を使い、税金と同じように勝手に持っていかれてしまいます。

 ところが持っていった先ででたらめな運営が行われ、損失が出ても、それはまた若い世代が補填すればいいじゃないかという考えで運営が行われれば破綻するのは当たり前です。

 私の場合は幸いにも?、今後突然法律が改正されない限り、60歳から年金がもらえる最後の世代です。これは本当にたまたまそうなっただけで、この数年間の年齢差は上に書いたように、非常に大きな支給額の差になります。

 50歳代のそのようなドタバタを目の当たりにして、それでは30歳代、40歳代がどう思うかと想像すれば、国の年金なんか当てにできない、出来れば国民年金保険料など払いたくないし、その金があったら積立預金をしたほうがよい、という発想になってもおかしくないと思います。

 この先どうなるか分かりませんが、結局支給開始年齢はどんどん上がり、その一方で需給額は減少し、最終的にはすべての原資が発展的解消となり、残るのは自助努力による自主年金ということにもなりかねません。

 しかしそうなるとその自助努力をしてこなかった人が生活保護申請となるわけで、その分の税金がまたアップすると言う悪循環になります。

 まあ50年ぐらい先の話かもしれませんが、50年といえば今の子供達が定年を迎える時期なので、親が真剣に考えないといけないなと思っています。

  
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