損益分岐は前倒し
年金減額1.1%が継続的に行われた場合の損益分岐(2014.10.22)
年金が毎年1.1%ずつ減額された場合の影響ですが、通常の65歳受給を基準に考えると,年間240万円、月20万円受給している人が20年間で本来もらえる4800万が4200万に減ってしまうという結果になりました。
一方、そんなに減るなら早いうちから年金をもらった方がいいと考えて、60歳のときに5年間の繰上げ受給を選択した場合、1.1%の減額がなければ、その損益分岐は76歳前後になるということが分かりました。つまり76歳を過ぎると、それ以降の年金の受給総額は65歳受給の方が多くもらえるということです。
私自身はもともと体力がなく、常に持病で悩まされてきた経緯があるので、これまで自分の寿命を最大80歳ぐらい、場合によっては70歳前後で・・・と考えてきました。
だとすれば76歳から損すると言っても、それまではもらえるお金が多いわけですから、早めにもらった方が生活費も増えて良いのではと早期退職直後は考えていました。
ところが実際に早期退職をして、ここ5年近く非常勤講師をしながらこういったブログを書き、時間があるときは海外旅行なんていうお気楽かつある意味ほとんどストレスのない悠々自適な生活を送ってきた結果、最近は体調もよく、自分も意外に体力があるかも、と少し考え方を変えています。
しかしそう考えると、76歳以降も存命の可能性は高くなるわけで、その場合は75歳以降の病気がちになる体を維持するために、それなりの医療費も準備しておかないといけないなと考え、結果的に繰り上げ受給は難しいなという結論になります。
そんな考えもあり、結局61歳の今日まで繰り上げ受給の申請をしていません。もし来年4月からということになれば、3年ほどの繰上げ受給になります。
さて繰り上げ需給をしたほうが良いのか悪いのか、と考えていたところに今回の1.1%減額問題が出てきましたので、減額が毎年行われた場合、繰り上げ受給との損益分岐はどうなるのかということが気になりました。
そこで240万円が毎年1.1%ずつ減って行く表をつくり、次に5年繰り上げの場合30%引かれるので、1.1%減額された後の数値の30%引きの表を、5年間ずらして作りました。
さらに実際にもらえた年金の総額を上から足した表を作って比較してみました。結果は以下のようなものです。数字はその年齢までのもらえる年金の総額です。
年齢 |
減額ナシ |
5年繰り上げ 減額ナシ |
1.1%減額 |
5年繰り上げ 1.1%減額 |
74 |
2400 |
2520 |
2285 |
2335 |
75 |
2640 |
2688 |
2499 |
2477 |
76 |
2880 |
2856 |
2712 |
2618 |
77 |
3120 |
3024 |
2922 |
2757 |
いかがでしょうか?1.1%の減額なし(左の2列)では、75歳から76歳にかけて損益が逆転しますが、今後毎年1.1%減額されると損益分岐は74歳から75歳になり、早い年齢で逆転することになります。
つまり1.1%の減額により、損益分岐はますます前倒しになったということです。従って、長生きを目指した場合、繰上げ受給はできる限り先に伸ばしたほうが良いというのが私の数字上の結論です。
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