どう転んでも受給額は減少?

デフレ化では、物価下落よりもさらに年金減額?(2014.12.11)

 数日前の新聞ですが、年金減額について新しい制度を作るというような記事が出ていました。 記事によれば、デフレ下で現役世代の賃金が下がった場合は、年金の減額幅をその下落率よりさらに拡大する可能性があるということのようです。

 さらに「マクロ経済スライド」も、デフレ化で機能するように改める考えだということで、いよいよ年金への攻撃が激しくなってきたなと感じました。

 しかし最初にこのニュースを見て不思議だなと思ったのは、前提条件である「デフレ化」という言葉です。すなわち、今政府や日銀は、金融緩和によってなりふり構わぬ物価上昇を目指しているわけで、その意味ではまったく現状とは相容れない議論だなと感じました。

 ところがニュースの最後の方にそういった疑問に対する答えが書かれていて、それは、減額は年金受給者の痛みを伴うので、今のように物価が上昇局面の方が議論に入りやすいと考えたからだと書かれています。

 つまり今後の日本では、当然景気が良くならず、再びデフレというか物価安や収入減が始まることも否定できないので、その場合には物価が安くなった以上の割合で年金を下げるということです。

 まああれやこれや様々なことを考えるもんだなと思いますが、当然ながら背景にあるのは年金原資の目減りだと思われます。資金が潤沢にあれば、こんな議論は出てこないわけですが、このままだと資金がなくなってしまう可能性があるため、それを避けるために少しでも原資の減少を少なくする方策だといえそうです。

 それにしても、物価上昇局面だから議論しやすい、というのはひどい話しだなという気もします。つまり誰もが気にしていないような時期にさりげなく話しを進めておいて、後になって実際にそういった局面になったときは「すでに決まっていることだから」と追求をかわすことが出来そうです。

 行政側としては、それが波風を立てずにうまく制度を作る秘訣だと思われますし、またそうでもしないと年金制度が崩壊するという危険性を考えているのかもしれませんが、もらう側としてはたまったもんじゃないなという気もします。

 デフレ時にはインフレ時にも物価上昇と連動しないような仕組みをつくり、インフレ時にはデフレ時のために物価下落以上に減額するプランを作ってしまえば、もらえる年金はどんどん減っていきます

 そういったことをあらかじめ予測してライフプランを作っている人は問題ないのですが、日々生活するだけで手一杯という人は、そういった政治の動きにも疎くなり、気がついたらどんどん年金が減らされ税金が増えているということになりかねません。

 ちなみに10月18日のヤフーニュースで、世界の年金指数というのを比較した記事がありましたが、日本は調査対象25カ国中23位だそうです。

 順位が低い理由で目立っているのは、持続性だそうで、つまり現状と同じような制度を今後も維持していくことは出来ないと判断されているようです。

 だからこそデフレ下にはより一層の減額という制度を作らなくてはいけない、という事なのかなと思いますが、作っている人はともかく、もらっている人にとっては、毎年毎年ネコの目のように制度が変わり、そのすべてが受給額が減らされる方向になっているという印象を受けます。
   
表紙に戻る 年金関係ニュース 年金減額への対処