企業の利益は牛丼の副菜

牛丼の原価を考えた効率的な注文は(2014.7.19)

 日本の家庭では、「牛肉は高い」というイメージがあります。今から45年ぐらい前、私が中学や高校のとき、親が、「今日の夕飯はすき焼だ」と言うと、手放しに喜んでいた記憶があります。

 当時から牛肉は高くて高級品。滅多に食べられないけど、ともかく味は絶品。すき焼になると牛肉ばかり選んで食べて、親に怒られたり揶揄されたりした記憶があります。

 そして現在、スーパーに行くと国産牛で、すき焼や焼肉になるパックに入ったものは、100gで最低250円ぐらいでしょうか?生産者の方としては、涙ぐましい努力をされているのだと想像しています。

 しかしショーケースの中に恭しく飾られている牛肉には、100g800円とかの値札が平気でついています。これを見るとやはり牛肉は高級だなと思わざるを得ません。

 そんな中、いつの頃からか、たぶん米国でBSE騒動が起きた2000年代の初めの頃からでしょうか。オーストラリアからオージービーフというのが輸入されるようになりました。

 肉質を見ると、赤身が多く、中には100g98円という豚肉よりも安いような牛肉もありましたから、安さに惹かれて購入したこともありますが、当然ながら肉は硬めでパサパサしていました。

 味も、牛の味はしますが、いわゆる日本の牛肉に見られるようなコクがまったくなく、単に肉を食べているという感触に浸れるだけのもので、しょうがないので香辛料を駆使して味付けをすることが多かったように思います。

 ところが、オーストラリアでも日本の消費者を意識した牛肉作りが徐々に浸透したのか、最近は適度に脂がのった、結構柔らかい牛肉も販売されるようになりました。

 スーパーで見ると、プライムビーフというような名前もついているようで、これまでよりもう少し手をかけて育てているのかなと想像しています。

 しかし手をかけるということは、日本の畜産業と同じで、結局価格の上昇につながります。最近のこれら、ちょっと高級志向のオージービーは100gが200円から300円と、日本の牛肉の最安値に迫っているように思います。

 というわけで牛丼に戻るわけですが、1食300円という、立ち食いそばよりも安いような信じられない値段で牛肉が食べられるというのが、昭和に生まれた私の年代にとっては衝撃的です。

 そこでネットでその理由を調べて見ると、当たり前ですが食材の一括大量購入、調理法等をマニュアル化し、誰もが簡単に調理できるとともに、人件費を節約。という、二つの方針が柱になっているようです。

 というわけで、ここからは想像になりますが、仮に1kg300円の国産米を仕入れることができたとして、どんぶり軽く1杯は70gぐらいだそうですから、ご飯は20円。牛肉は100g100円として(一括購入ならもっと安そうですが)、やはり70g使うとして70円。

 たまねぎ1個大量購入で20円(もっと安いかも)としても、実際に使うのはほんの少しですから数円?これ以外に出し汁があり、たぶん工場で一括して作っているのだと思いますが、仮にこれを5円。さらに七味唐辛子等の香辛料が数円。

 以上の合計がだいたい100円。(ネットで調べたら130円ぐらいという記載もありました)これに店舗の出店費用や維持管理費。従業員さんの人件費。輸送費。さらには工場での製造費や人件費が加わって、これが150円ならギリギリ利益が出るし、200円なら赤字になりそうです。

 それでも何とか経営が成り立つというからくりは、牛丼以外の味噌汁、卵、お新香といった付随物で稼いでいるのかなと思えます。逆に言えばこれらを頼まない消費者が、効率の良い(栄養学的にはよくないと思いますが)食べ方をしていると判断できます。 
  
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