すべての欲望が満たされたら
その後の人生は?

人生の欲望と老後の生きがい(2013.6.21)

 結婚して子供が出来、その子供が無事に育ち社会に出て行く頃、親は定年を迎え老後の生活に入ります。

 老後の生活に入るまでは、自分の生活を少しでもより良くしようとか、子供をしっかり育てようとか、夫婦は仲良くしようとか、まあそれぞれの年代に応じてそれなりに目標というか欲があります。

 しかし年齢と共に人生の中で「やらなければならないこと」または「やった方がよいこと」「やりたいこと」は少しずつ減っていきます。 

 結婚した。子供が出来た。子供が独り立ちした。子育てが終わった。仕事が一段落して退職した。当面の衣食住の問題は解決できた。次々とやるべき事、やりたいことが終了していくのが老後の特徴だなと思えることがあります。

 本が好きなので、常に何らかの本を読んでいますが、本に出てくる主要なテーマは、恋愛、金銭、名誉といったものであり、これらは人間の欲望に密接に関係があるなと改めて感じています。

 と言うことは、逆に言うと、もう恋愛はできないかなとか、お金は年金があるからそこそこ生活できるからとりあえず満足とか、仕事もしていないし今更肩書きや名誉を重んじてもなあと考えてしまうと、老後の生活は何のためにあるのかという目的意識がひじょうに希薄になっていくなあと感じることが多いです。

 贅沢な考えだと言うことは重々承知していますが、周辺環境がある程度落ち着いたところで改めてこれから10年、20年と生きていくとき、何が目標になるんだろうか?と考えてしまいます。

 人が生きる目標はどちらかと言えば日頃感じている欲望が動機になっているのかなと思えますので、人の欲望について調べてみると、食欲、睡眠欲、性欲が先ず大きな欲望であり、それ以外に金銭欲、権力欲、物欲、名誉欲、知識欲、健康欲なんかがあるみたいです。

 確かに美味しいものをものをもっと食べたいと思い旅行に出かけたりするわけですが、定年退職後いつまで寝ていても問題ないような環境になれば睡眠欲は満たされ、年齢と共に性欲は衰えますから、三大欲で残っているのは食欲だけ。

 金がもっと欲しい、という欲は否定できませんが、今更出来ることは限界があると考え、今の状態でまあ満足となれば、これは大きな欲にはなりません。

 そうやって少しずつ欲望を満たしてきたのが今の自分ですから、この先の欲望が減るのは当たり前ですが、そうなるとこれから何のために生きていくのかという動機が弱くなります。

 あれがしたい、これがしたい、と願っている状態は、不満やイライラを常に感じている状態ですが、それらがすべて達成できたら逆に目標が失われ、生きる元気がなくなるような気もします。

 梅雨空だからでしょうか?ちょっと気分が落ち込んでいるのかもしれません。昨日久しぶりに昔それなりに練習したフルートを持ち出し吹いてみました。想像していたより良い音が出たのでびっくり。音楽への欲望はまだ残っているみたいです。


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