総務省の家計調査より

65歳以降の家計支出はいくら?(2012.9.3)

 本屋さんに行くと、定年前後のなんたらかんたら、という本がやたら目に付きます。というか、そうゆう本を私自身が関心を持ってみていると言っても良いかもしれません。

 書かれている内容は、65歳以上の生活費は一ヶ月35万以上必要。だから定年までにこれこれの貯蓄が必要。さらにそのためにはこんな所に投資をすべきだ、みたいな三段論法が多いように思います。

 どれもみんな似たような書き方です。もしこの数字をそのまま信じて生活していたら、「そんな貯蓄はとても出来ない」「今の仕事だって大変だ」「今後リストラにあったらどうしよう」と考え、将来は暗いなと悲観する人が続出するような気がします。

 しかし誰もが疑問に思うのは、65歳を越して、月々の生活費が本当に30万以上も必要なんだろうか、という疑問だと思います。雑誌に書いてある35万以上の根拠は、どこか怪しいような気がします。

 そこでネットで総務省の家計調査を元にした実際のデータを検索してみました。統計局の「ライフスタイルと家計」というページを今見ています。

 まず最初に全世帯の人数別の消費支出比較の表が出ています。数字は平成23年のものですから最新です。これによれば、一人世帯は16.1万、二人世帯25.2万、三人が28.3万、四人が31.3万だそうです。

 息子と二人の我が家の現在の支出は教育費やハワイ旅行まで含めると、確かに平均的な25万前後になりそうです。ただし行かなければ20万ぐらいですから、平均よりは低くなります。もっとも息子との二人ぐらしと夫婦では比較できないかもしれません。

 将来私が単身になったときのことを考えると、統計では25万が16万に減るわけですが、現状の家計から考えるともう少し少なくなるように思います。

 ただし体が元気で、まだまだ旅行に行くぞという気力があれば、月16万では足りないような気もします。ただ大筋でこの数字は実態に近いなと感じられます。

 次に注目するのは60歳以上の二人以上の無職世帯の家計ですが、横書きで分かりにくいのですが、食費62493円、住居費16240円、光熱水道20877円、雑貨類9489円、衣料品7155円、医療費15143円、交通通信23357円、教養娯楽26011円、教養娯楽59837円となり、合計240602円だそうです。

 ただしこれに税金や保険料が加わり総額は271165円という大変大きな数字になっています。これに対して年金等の収入は218292円だそうで、52873円が不足するので、それが貯金からの取り崩しだそうです。

 ということは単純に考えて、年間で634476円が足りないわけで、それが20年間12689520円となり、要するに65歳時点で1500万円ぐらいの貯金があれば、標準的な生活が出来ることになります。

 一方単身の場合は、内訳は書きませんが、総支出額が152421円で、年金等からの不足分は30783円と書かれています。

 従って年間なら369396円、20年で7387920円となり、65歳以上で1000万円あれば、なんとか貯金取り崩しで標準的な生活が出来ることになります。

 というわけであとは60〜65歳の間をどうするか、というのが問題になるわけで、これは個々人の年齢によってもらえる年金額が大きく変動しますから、自分でシミュレーションするしかありません。

 こういった分析は、自分自身でコツコツと、自分の家の実態に合わせて計算するしかありません。雑誌等のセンセーショナルな記事を鵜呑みにして、将来を悲観するのがもっとも避けるべきことのように思います。


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