定年までに3000万の貯蓄は
大多数の家庭で不可能?

雑誌表題は世相を反映(2012.9.29)

 食材の買い物ついでに本やさんに行ってマネー雑誌と旅行雑誌を見ることが多いのですが、最近のマネー雑誌の見出しは、「家計の見直しで年100万の貯金」とか「定年までに3000万」という見出しが多いですね。

 私は、新聞広告もそうですが、こういった見出しを斜めに深読み(裏読み)する癖が付いてしまいました。すなわち「年100万の貯金」という見出しが多いと言うことは、逆に「年100万の貯金をすることが出来る家庭はひじょうに少ない」ということだと考えます。

 定年までに3000万という記述は、実はかなりの人が定年までに3000万を準備することが出来ない実態がある、と読み取れます。

 ちょっと前までのマネー雑誌の見出しには、定年までに5000万とか、定年後の豊かな暮らしには月30万が必要、というようなものが多かったのですが、最近は月15万で豊かに暮らすというように、マネー雑誌に掲載される数字そのものが小額になったように思います。

 ということは、ほとんどの家庭が貯蓄が出来ない、という厳しい生活を強いられていると判断できます。実際サラリーマンの平均年収は平成9年に467万でしたが、その後減る一方で今年は412万だそうです。

 グラフを見ると、その下がり方はほぼ一直線ですから、今後も同じ率で下がるとすると、1年ごとに4万減る計算になります。ということはあと3年で平均年収は400万を切るかもしれません。

 その頃には消費増税が予定されているわけで、税率が5%から8%になれば3%アップ。年間で300万消費する家庭は9万円アップ。つまり平均年収が今後12万下がり、消費税アップ分が9万円増えることになり、生活の困窮度はさらに増す、という結論になります。

 そもそも我が家の場合は、昨日書いたように年間の総支出は230万で収まっていますが、それは家のローンを完済しているからで、これに年間100万程度のローンや賃貸料があって、子供が二人いたら今頃富士山の樹海に行っていたかもしれません。

 年収400万で家庭を持ち、二人の子育てをするということがどれほど大変なことか、私自身想像にあまりある部分もありますが、生活のために子供に大学進学を諦めてもらう、という家庭が今後も続出すると思います。

 また年収が増えないことがネックになり、結婚に踏み切れないカップルもいるはずで、それが少子高齢化を作り出していることも間違いないです。

 しかしではどうすればいいのか、と問われると「う〜ん」と唸って答が出てきません。そうやって政治家を含めて、みんなが「う〜ん」と唸っているだけで、ある意味「しょうがないや」と諦めつつあるのが日本の現状かもしれません。

 ということは、その先にあるのは穏やかな衰退か、それこそ革命的な事件による方向転換かもしれません。年をとった側から見ると、まあ穏やかな先延ばしによる衰退が良いのかなと思えますが、それこそ政治家が考えていることなのかもしれません。

 ちなみに私はささやかながら買い物の小銭を貯金したりして、それを緊急費用の支出等に充てています。年100万は無理でも、現状で出来ることを少しでもやる、という意識が20年、30年先の暮らしに影響するように思います。


表紙に戻る 生活設計 教育費と将来設計