日々のわずかな努力の差

2017.4.18

 私が教員生活を初めて10年ぐらいたったころでしょうか。巷でフリーターなる言葉が流行りだしました。

 自由に職業を選び、気楽に生きる、というのが合言葉のようでしたが、あの頃フリーターを志した人は、私より20歳ぐらい年下だったのではないでしょうか。

 もしそうだとすれば現在40代半ば。気楽なフリーター生活の行きつく先が見えてきたころだと思いますが、もしそのままフリーターを続けていたとするなら、現在の生活はぎりぎりだと思われます。

 一方で60歳、65歳という年齢が近づき、年金受給額も徐々に明らかになります。もしフリーターとして勤めていたとすれば、厚生年金の額はかなり少ないはずで、頼みの綱の老齢年金も未納期間があったりすればさらに減額。

 そうなると60歳以降は月々5〜10万で生活ということになりかねません。結果的に賃貸アパートの家賃も厳しいはずで、まさに八方ふさがりになりそうです。

 そうなる前にできることは何だろうかと考えると、やはり現状把握から出発するしかないんだろうなと思います。すなわち自分の体力、気力を確認し、職業はともかく何歳まで働くかを考える。

 続いて収入になるはずの年金額の把握。これが分からないとライフプランを作れません。こういったことは最寄りの社会保険庁に出向けば、アルバイト等の仕事を除いて、自分自身が忘れている職歴も含めて、きちんと教えてくれるはずです。

 そうやって厚生年金と国民年金の受給額を知り、それらを何歳からもらえるのかということが出発点ですね。私の妹の場合は、今ようやくそこに気が付いたという段階です。

 受給額が分かったら、現状の仕事を何歳まで続けるかもしくは続けられるかという予測をして、さらに今後起こり得るイベントを考える必要があります。

 こういったことをきちんと考えると、生涯の金銭的な収支が具体的に把握できるようになります。私は早期退職前に、エクセルを使って、条件を変えて何回もこういったシミュレーションを行いました。

 その結果、きちんとした節約生活を実行できれば、息子の大学の学費を負担しても、何回か旅行にも行け、何とか暮らしていけるという目途がついたので、早期退職をしました。

 結局なるべく具体的に先を見通して生活していかないと、一部の裕福な人を除いて、これからの日本ではあっという間に下流老人に転落ということになるのだと思います。

 一方こういった見通しができて、全く資金が足りないということが分かったら、ともかく早期に手を打たないといけません。

 一時期「やるなら今でしょう」という言葉が流行りましたが、ともかく「もう遅い」と思ったときにすぐ始めれば、「もう遅い」と思ってなかなか取り組まなかった人よりも、より早く先に進むことができます。

 そいういったもろもろのことを考えて、では具体的にどうするかとなったとき、ようやく生活見直しの出発点に立ったと言えるのかもしれません。

 というわけでうまくまとまりませんが、まず最初に行うことは現状把握。次が今後の方針、プランの作成。そしてそのプランを実現させるための具体的な方法の検討。

 さらに言えば、千里の道も一歩からとか、塵も積もれば山となるという諺があるように、日々ほんのわずかな努力を積み重ねていくということが大事なのだと思います。


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