早期発見が大事ですが・・・

いじめの早期発見は難しいです(2012.9.23)

 朝出席をとったら、いつもきちんと出席している生徒がいない。保護者からの連絡もない。5分ぐらい待っても来ない。これは大変だ。と思っても、1時間目に授業があれば、保護者に連絡が出来ません。

 そこで学年の体制にも寄りますが、副担任や学年主任といった、担任をサポートする人に頼みます。当然この方達が動いてくれ、連絡が付けば1件落着ですが、そういった人たちが授業や会議だったらどうするのか?

 こういったことは、今の学校では当たり前のように毎日起きています。もちろん進学校等の優秀な学校では、遅刻や欠席そのものが少ないので、あまり話題になることもないのですが、指導困難校では朝行ったら40人の内、10人ぐらいいない、なんてこともあります。(たいていは鐘が鳴っている最中にドヤドヤ入ってくるのですが)

 というわけで、朝は忙しい。そして連携プレイをするのもなかなか大変な時間帯だということを、先ず理解していただきたいと思います。

 次に、これは大事なことですが、登校時から教室にはいるまでの間に、「からかい」や「いじめ」に該当するような行為が良く行われています。朝、正門に立って登校指導をしていると時々気がつきます。

 子供同士ですから、朝会えば「おはよう!」とか、男子生徒どうしなら「よお〜!」とか言いながら登校してくるのですが、そんな中で、例えば「おはよう!」と言いながら思いっきり背中を叩いたりすることがあります。

 叩かれた方もニヤッと笑って、「おはよう!」と明るく返して、叩き返すぐらいだったら問題ないのですが、叩かれても返答せず、そのままうつむいて歩いていく姿を教員が見たら、たぶん「おやっ!」と思います。

 同じような行為が同一生徒に対して連続して起きるなら、(つまり追い抜きざまに数名の生徒が同じ生徒の背中を叩くというような状況です)これは何かある、と普通は考えます。

 しかしこれだけですぐに生徒指導部に連絡して指導云々と言うことには通常なりません。ただしそういった状況を見た、という連絡は、連係プレーが出来ている学校ではすぐに担任に伝わりますので、担任は朝の連絡をしながら、さりげなく該当生徒の動向や周りの生徒の動向を探ることになります。

 その時に「どうも怪しい」と言うことになれば、今度は授業を担当する先生に、「最近この子の雰囲気はどうですか?」とか「ちょっと気になる子がいるので、時々気にしてもらえませんか」というような連絡をします。

 要するに早期発見と状況判断ですね。これが出来るかどうかでその後の経過に大きく影響すると思います。

 私が以前経験した例では、朝の連絡時に、普段元気な子が、なんとなく落ち込んでいる雰囲気が見えたので、教科の先生に授業中の雰囲気を聞いてみたところ、やはり変だという連絡があり、その後何人かの先生から、「もしかしたら、いじめを受けているかも」という話がありました。

 そこで先ず最初に、授業が終わり、掃除の時間になったとき、「最近どう?」と私が声をかけました。

 すると「つまんない」とか「学校面白くない」とか言います。「まあそうゆう時もあるんじゃないの」と言ってその場は終わりましたが、「やはり何か悩み事か心配事があるな」と感じましたので、今度は部活関係の顧問に状況を尋ねてみました。

 そこでようやく概要が判明。まあ良くあることですが、部活を仲良く一緒にやっていたのに、何かのきっかけでその子に対するからかいや無視という行為が始まったようです。

 結局、私以外の、教科担当の先生、養護教諭の先生、部活顧問、更には該当生徒とはまったく関係ない信用できそうな他の生徒からの情報を少しずつ得て実態が判明したわけです。

 しかし、この情報収集に関する時間や労力は、文章にすると簡単ですが、授業や会議等の合間に行うわけですから、本当に面倒なもので、前にも書きましたが、出来ればやりたくないと言うのが本音だと思います。しかも今度はこの後どのように対処するかという問題もあります。

  
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