65歳までの再雇用義務化(2011.12.15)

 今日の毎日新聞1面トップに、「65歳まで再雇用義務化」という見出しが出ていました。これは2年後からいよいよ年金の支給開始年齢が徐々に繰り下がり、全く収入のない期間が生じるということへの予防処置です。

 私は現在59歳と数か月ですが、来年3月にめでたく?正規退職年齢となります。幸いにも私の年齢まで60歳から共済年金をもらえます。

 その次の年からは支給開始年齢が順次繰り下がりますので、今年度(2013年)に59歳になる人は、厚生年金や共済年金をもらうまでに1年間のブランクが出来ます。

 つまりまったく無収入の期間が出来るわけで、それではまずいだろうということで、再雇用義務化という案が打ち出されているわけです。

 しかしこれは実際に始まってみると様々な問題が出てきそうです。新聞には、希望者が増加しても雇用には限界があるし、場合によっては若年者の雇用にも影響を及ぼすとして企業側は難色を示していると書かれています。

 この制度が本格的に整備されると、会社には高齢者が溢れることになりそうです。と言うことは、機敏で斬新な動きが出来ない、という弊害も生まれるような気がします。

 また企業側としては60歳を越えたときに雇用の義務が生じるなら、その前に勧奨で早めに辞めてもらうという予防処置をとる可能性もあります。早めに辞めてもらえば、再雇用の義務はなくなりますし、後は自己責任です。

 と言うことは私のような定年数年前の退職者が増える可能性もありそうです。その人たちのその後の5〜10年ぐらいの就職や収入はどうなるのか?

 一方私がこの記事を見て最初に感じたのは、60歳になってもフルタイムで働ける体力のある人は羨ましいということです。55歳を過ぎたあたりから、個人個人の体力差は開く一方のような気がしています。

 体力のある人は70歳になっても山登り等を楽しんだりしているようですが、私なんかは近所を歩き回るのが精一杯です。そんな体力で、希望があれば仕事をしてもよい、と言われても、なんだか迷惑をかけそうで、とても正規勤務は出来そうにありません。

 もちろん持病が悪化して入院と言うことにもなりかねない年代ですから、体力格差=収入格差にもなりそうです。就職して30年、40年と働き、頑張りすぎて体をこわして入院。その後は仕事もなく年金も出ない、なんてことも起こりそうで、要するに体力のないものは去れ、ということなのかなと勘ぐってしまいます。

 さらに若年者の雇用はどうなるのか?すでに国家公務員は採用抑制の方針が打ち出されていますが、それでこれからの行政が支えきれるのか?そして若者の雇用が減るわけすから、その失業対策はどうするのか?

 あちらを立てればこちらが立たない、と言う理屈はよく分かりますが、目先の数年ではなく、今後10年20年の将来を見て、再雇用の問題も検討しないといけないと思うのですが、新聞の内容では、ともかく来年以降60歳以上の人の仕事がなくなるのを保障しないとまずい、と思っているだけのような気がします。

 両方の顔を立てるなら、再雇用しても収入をう〜んと減らし、それでも納得できる人だけが残る。減らして浮いた分は若者の雇用に回す、と言う考えが一番単純で分かりやすいと思うのですが、どうでしょうか。


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