昭和60年から相対的貧困率は上昇傾向

相対的貧困率が上昇中(2012.10.11)

 毎日新聞の数日前の社説で「子どもの貧困」が取り上げられていました。副題は「政治は冷たすぎないか」というもので、内容を読むと、「やはりな」と思わせるものでした。

 この記事の中で、「相対的貧困率」という言葉が出てきたので、早速調べてみました。この定義は簡単に言えば、実際の生活で使っているお金の平均値の半分に満たない人数が、全体の何%いるかという数値です。

 つまり例えば日本の全世帯の年間所得の平均が300万円だったとすると、その半分150万円以下で生活している人が何%いるかということをあらわす数値だと思います。

 そこでこれらの年次推移が実際にどうなっているのかを見てみようと思い検索してみると、厚生労働省が「各種世帯の所得等の状況」という資料を発表していました。

 これによれば平成21年度の可処分所得の平均は250万円と言うことで、これの半分以下すなわち125万円以下で生活している人数が全体の何%というのが相対的貧困率となります。

 この数字が16%となっていて、昭和60年からの数字の推移を見てみると、12%からほぼ一方的に増加の一途をたどっています。24年間で4%アップですから、毎年約0.5%アップしている計算になり、この増加率で行けば平成24年度は16.5%になりそうです。

 さらに問題なのは両親が揃った家庭の貧困率は平成21年度は10.2%なのに対して、父子家庭、母子家庭の貧困率は50.8%もあるということで、要するにこういった家庭の半数は平均年収の半分しか生活費がないという事になります。(我が家の状況と同じです)

 ただこの値は平成9年度が63.1%でピークになっていて、それ以後少しずつ減少していますから、様々な補助制度が少しずつ作られているのかなという印象はあります。

 しかし結局父子家庭、母子家庭の子ども達の半数は生活するのがやっとである、という状況ですから、高校を卒業して勉強したくても働かざるを得ないということになります。場合によっては中卒で就職と言うこともあると思います。

 新聞記事では、この状況を指摘すると共に、日本のこの相対的貧困率が先進諸国20カ国の中では17位という低い位置だと書いています。この下の国はアメリカ、スペイン、イタリアだけだそうです。

 アメリカの場合は所得格差が大きいのと人種的な問題があるのかなと想像できますが、詳しいことは良く分かりません。スペイン、イタリアは債務問題があるので、国全体としての収益が悪化していると考えられます。

 しかしその状況は日本も同じであると考えると、今後は消費増税等も予定され、ますます日本での貧困率は高まると考えられます。ではどうすすればいいのか。子どもを本当に大切に思うなら、やはり少しでも余裕のある世帯から税金をとり、一方で訳の分からない無駄な支出をせずに、学びたくても学べない子ども達に援助をするというのがまともな考え方だと思います。

 ということは、衣食住の基本的なものに関するもの以外の税金を上げるとか、所得税の高額所得者の税率を上げるとか、私も痛みを分かち合うならそれこそ年金受給額を下げるとかするしかないのかなと思えます。

 しかしどうやっても痛みが伴うなと考えているとき、政府が復興予算等でいい加減な支出をしていたという話を聞くと、尚更腹が立ちます。


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