特例公債法案金利負担分は
議員歳費で補てん

石原都知事辞任と特例公債法案(2012.10.28)

 先週、買い物帰りに車の中でラジオのスイッチを入れたところ、アナウンサーがいきなり「3時から緊急記者会見が行われます」と言い出したので、いったい何事だ、いよいよ解散総選挙か、と思ったら石原都知事の緊急辞任会見でした。

 内容を聞いてみると、「確かにその通りだ」と思える部分と「これはちょっと違うんじゃない」という部分、さらに「これは明らかに他人を馬鹿にしすぎだろう」と思える言い方があり、日本ではもはや「少なくなった典型的な頑固じいさんの物言いかなと感じました。

 賛同できる部分もあり、そりゃいくら何でもいいすぎだろうと思える部分もありますが、良きにつけ悪しきにつけ、こういった白黒をはっきりつける言い方は、今の政治家の皆さんにはあまり見られないものです。

 その意味では大阪の橋本市長さんと同様、人によっては「小気味よい」と感じるでしょうし、また人によっては「不愉快きわまりない」と感じると思いますが、「曖昧ない言い方しかしない今の政治家よりは良い」、という見方をする人も多いのではないでしょうか。

 しかしそう感じるのは庶民であって、政治家の方々が石原都知事の言い分を我々庶民と同じレベルで批判するのは情けないです。

 やはり政治家は、反論の中味を論理的に組み立て、自分自身のビジョンを持って、「その主張は間違っている」ときちんと反論すべきであって言葉尻を捕まえて「あの言い方は良くない」なんて言っているのは悲しいだけです。

 さて、今日の毎日新聞1面トップは、特例公債法案が不成立のため、すでに23都道府県で予定外の借金をせざるを得ない状況が生まれているという記事が出ています。

 当然借金をすれば金利負担が生じます。喜んでいるのは銀行でしょうか。民間企業と違って、貸出先がつぶれる恐れはほとんどありませんから、堂々と何億円でも借りてくださいということになりそうです。

 一方借り入れによって生じた金利負担はすでに全国で3000万円ぐらいに膨らんでいるそうで、今後も拡大する一方なのは間違いありません。

 ではこの金利負担を誰が負担するのか?前にも書きましたが、これは全額国が負担すると書かれています。しかし国が負担すると言っても、公債本案を審議していない国会議員が負担するわけではありません。

 結局は我々が支払っている税金から支払われるわけです。従って国会議員さんの懐はまったく痛まない。遅れれば遅れるほど国の借金が増え、その分の庶民の税負担が増し、その税負担分が銀行を潤すという構図になっているような気がします。

 そもそも本会議がなかなか開けない、または開いても審議が出来そうにもないというのは異常事態ですから、これは国会議員のサボタージュと同等であるような気もします。

 働かないなら賃金を払う必要はないわけで、歳費や政党助成金はすべて金利負担の補てんに充てるべきであるような気がします。

 与野党は互いに相手の責任だと小学生のけんかのような主張ばかりしています。そういった状態に業を煮やして石原都知事が怒ったのではないかとも思えます。小学生のけんかを、近所のがんこじいさんが、いつまでも馬鹿なことをやっているんじゃない、いい加減にしろと頭をこつんこつんと突いたような印象です。


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