巳年は株価が上昇する?

好景気への期待感が先行?(2013.1.5)

 今年は巳年です。一部の経済評論家さん達は、辰年や巳年は株価が上昇する傾向が強い、なんてことを言って嬉しそうにしていますが、辰年の昨年はさんざんだったことをたった1日で忘れてしまったようです。 

 そもそも経済評論家と自称している人たちが、巳年だから上がる可能性が高い、なんてことを平気で言う感覚が不思議です。

 新年だからリップサービスのつもりかもしれませんが、評論家ですから雇用環境や少子高齢化、さらに金融緩和によって経済がどうなるのか、ということをきちんと分析してコメントをだしてもらいたいなと思えます。

 「巳年だから上がるかも」なんていうコメントは誰にでも出来ます。ただし庶民の立場として、専門家がそのようにコメントするんだから上がるかも、と期待する人は増えるでしょうから、それを狙っているのかなという気もします。

 と言うことは結局、株式雑誌の「今こそ買い時」というキャッチフレーズの根拠を「巳年だから」という言葉にすり替えたに過ぎないような気もします。

 同様に年初の高値を歓迎して、今日の朝刊では様々な証券会社のストラテジストやエコノミストと称される人が、今後の日経平均の予想を書いています。

 最低が8500円で最高が13500円。つい上の方の景気の良い予想を信じてしまいそうになりますが、経済分析の専門家であっても昨日の日経平均10688円から上は3000円、下は2000円程度の広がりで予測をしているわけですから、結局先は混沌としている、と見るのが冷静な判断のように思います。

 ただこれだけ不況が長引くと、少しでも経済の回復を実感したいと誰もが思っているわけで、それはテレビで報道される新年の街頭インタビューのコメントでもよく分かります。もちろん私もそれを願っています。

 ただ街頭インタビューを受けている人の身なりは、およそ庶民の身なりとはかけ離れているように思えるのは私の僻みでしょうか。

 正月は同様にグルメ番組も多く、美味しいレストランで食べている家族連れのインタビューもありましたが、そういったレストランを気軽に利用できない方達も多数いることも事実です。

 新年ですから、見たくないところは目をつぶって、期待感だけを煽るというのも許されるのかもしれませんが、それこそ実体経済は何もかわっていないのに、円安だけが進み、円安になったから株価が上がりそうだという期待感で株を買う人が増え、その結果株価は上昇。

 それを見て経済は好転しつつある。今こそ買い時、と言うマネー雑誌が今後続々と出版され、そのことによってさらに株価が上昇。見かけの経済環境は好転。と言うことを阿部政権は考えているのかもしれませんが、企業トップはもう少し冷静に見ているようにも思います。

 少子高齢化という構造的な問題はまったく考慮されず、見かけだけを追うならば、その見かけが剥がれたとき、手痛いしっぺ返しをくらう、と言うのがこれまでの通例ですから、小心者の私はビクビクしながら現状を見守っています。

 日本人の特徴として、ある方向に動き出すと誰もが一斉にそちらの方向にわっと向かってしまう傾向があるなと思っています。誰もが「いよいよ景気回復だ!」と叫んでいるとき「本当にそうなのか?」という懐疑心を持って臨んだ方が、後々良いような気がしています。

 ちなみに私は巳年。今年は年男です。だから何だと言われそうですが、巳年は節約に長け、お金に関してはあまり苦労しない運勢だという認識を持っています。(根拠は不明です)


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