不公平感を緩和して負担増

富裕層への課税強化は誤魔化しにしか思えません(2013.1.25)

 富裕層への課税強化を高らかに宣言し、「どうだこれなら、あんた方の負担が多少増えても納得できるだろう」と誤魔化そうとしているのが、今回の様々な税改革の基本だなと感じています。

 ヤフーの「富裕層課税を強化」というニュースでは「所得が低いほど負担感が強まる消費増税の不公平感を緩和するため、資産を持つ富裕層の所得税、相続税の課税を強化する方針」ということで、15年1月から「課税所得1800万円超に適用されている最高税率40%を45%に引き上げ、課税所得4000万円超に適用する」んだそうです。

 では不幸にも?この課税強化の対象になった人は日本全国で何人ぐらいいて、その結果どの程度税収が増えるのか?

 現在埼玉県では、教職員の早期退職問題が話題になっています。1月までに退職することによって得られる退職金と、3月まで働いて得られる退職金の額が、3月末まで働いて月々の給料を2ヶ月分加算しても、総額は少なくなってしまうと言う奇妙な逆転現象が起きています。

 つまり苦労して働け働くほど損をするというシステムです。そんな中、1月末での希望退職者が多すぎると県知事は偉そうに言っていますが、これからの負担増とただ働きを秤にかけたら、むしろかなりたくさんの人がただ働きを覚悟して残ってくれたと評価すべてきであるように思います。

 ただ今回新聞記事で明らかになった額については、民間の方からは嫉妬の視線が浴びせられているとは感じます。しかし話の最初に戻りますが、通常の教職では、課税所得4000万を越えることは、例え校長等であっても不可能です。

 つまり公務員ですらその程度ですから、この課税強化の対象者になるのは、本当に一握りだと言うことです。一般の方(私の感覚と言っても良いですが)から見れば、富裕層というのは課税所得が1000万、というような感覚ではないでしょうか。

 一方住宅ローン減税や孫への贈与は、やればやるほど減税の対象になるようですが、喜ぶのは元総理の鳩山さんぐらいなのかなとも思えます。

 そもそも現在の派遣やパートの収入で家を買えるのか?祖父祖母が1000万もの贈与が出来る家庭とはどんな家庭なのか。言葉だけはローン減税、譲渡税の軽減と勇ましいですが、利用できる人は限られています。

 こういった耳障りの良い、あたかも減税が行われて負担が軽くなるような幻想を与えつつ、一方で低所得者層への軽減税率はなし崩し的に延期。しかも今後本当に適用されるのかどうか現時点では不明です。

 その上「大増税時代がやってくる!」というニュースにあるように、負担だけはどんどん増えていきます。ここに示されているのは、所得税への復興税の加算、消費税アップ、相続税の控除額の減少、健康保険料、介護保険料の増額等です。

 全体をまとめてみると、本当の一部の人たちに若干課税強化を行い、中間所得者層に住宅や車を買えと勧め、年寄りには早く孫に金を渡して消費させろと言い、低所得者には、こんなに高所得者に課税強化をしたんだから、多少の負担は我慢しろ、ということのように感じます。

 「あ〜あ、なんだかひどい事になってきたな」と感じていますが、そのような道を歩むであろうと思われた自民党政権を選んだのは、我々一人一人の選挙民ですから始末が悪いです。


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