ベアが上がっても実態は厳しい?

春闘の結果は好調?消費者心理は悪化(2014.3.13)

 春闘の結果が次々と発表され、ベア数千円という景気の良い文字が並んでいます。月2000円上がれば、年間で24000円。

 フルタイムで仕事をしているときは、そこで思考が停止しましたが、改めて定年を越えて考えてみると、もしこの2000円アップが、現在40歳で、その後20年間働けば、ベアがなかったときに較べて収入は24000×20=480000円増えることになります。

 これに就労年数 によるベースアップが加算されれば、この数字はさらに大きなものになる可能性があります。つまり単年度のベアではなく、涯賃金としての考え方も必要だなと思えるわけです。

 一方、仮に一人あたりの賃金が50万円増えるとすると、従業員さんが100人いる会社は、20年間で少なくとも賃金上昇分の5000万円以上収益を上げないといけないということになりそうです。

 経営者側としては、そうなると今後20年間で業績がどうなるのかということを予想しなくてはいけないという結論になるわけですが、働いているときはこんな事は考えもしませんでした。

 それにしても、例えば家計費が年間300万かかかっている家庭では、消費税アップ分は3%なので、約9万円の負担増です。

 ということはベアの24000円は消えてなくなると言うことで、その差額がボーナスで増えればいいのですが、そうでない場合家計は今よりも苦しくなると言うことです。

 もちろん数千円でも給料は上がった方が良いわけですが、本来ならベア5000円ぐらいの解答でないと、労働者側としては手放しで喜べないのかもしれません。

 ましてや、超一流の企業がその状態ですから、その傘下にある中小零細企業の場合、はたして給料が少しでも上がるのかというのは切実な問題です。

 ちょっと前の2月21日の毎日新聞には、「賃金、前年を下回る」という記事があり、減少率は42歳、勤続11.9年で295700円となっていて、これは前年より0.7%の減少だそうです。

  ということは2012年の値は297800円ぐらいだったということであり、要するに2100円ぐらい減っているという計算結果です。つまり今回の大手のベアは、2012年から2013年にかけて減少した分を少し回復した程度だと言うことです。

 そういった流れを受けての結果かどうかは分かりませんが、今日のヤフーの経済ニュースでは、「消費者心理、3ヶ月連続悪化・・・内閣府調査」という記事が出ています。

 新聞の見出しは「満額回答」といった喜びに満ちた文字が躍っていますが、上記の記事を読む限り、実態は厳しい、と考えている人が多いということだと思います。


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