日本の貧困率から分かること(2015.4.26)
資産の格差に注目してこのところ記事を書いているのですが、今日の朝刊にはアメリカの自動車大手ゼネラル・モーターズの最高経営責任者に支給された報酬総額が日本円で約19億円だったと書かれています。
これは前年の3.1倍だそうですが、それにしても大きな金額です。しかも企業自体の利益は前期より26%減っているそうで、これじゃあこの会社の労働者も投資をしている人も「あんまりだ」と感じるように思います。
しかしアメリカでは、一人の人間に対して19億円もの支払いをするという現実があるわけで、いくら忙しくて責任があるといっても、ある程度の限度が必要ではと思えてしまいます。
また今日の新聞の朝刊には、「日本で広がる格差」と題して、元世界銀行副総裁の西水美恵子さんという方が教育格差について、その考えを書かれています。
その記事の中の一文、「先進国の中で最悪の貧困率を抱える米国」という記述があり、改めて「そうだったのか」と思い、一応調べてみました。
この貧困率の定義ですが、国民所得の中央値(所得の低い額から順番に並べた時にちょうど真ん中に来る額で平均値とは異なります)の半分未満の所得の人の割合だそうです。
こういった数値はネットで検索すると良くわかりますが、アメリカが約17%、日本が約16%だそうで、その次に財政破綻しそうなギリシャやスペインの約15%が並んでいますので、確かにひどいです。
ちなみに日本の国民所得の中央値はいくらかと調べてみると、だいたい450万円ぐらい。平均値は550万円ぐらいで、平均値が高いということは、それだけ少数の資産家が多いということをあらわしています。
ということは相対的貧困率の定義である中央値の2分の1は225万円ぐらいですから、年収がこれ以下の人が、今現在日本には16%いるということです。
さらに西水さんは、アメリカも日本も親の資産と教育力が関係し、貧困層の子供に充分な教育機会が与えられていない現実があり、資産家であることがそのまま世襲されていると書かれていますが、まったくその通りだと思います。
その結果アメリカでは、(資産と地位のある?)元大統領夫人と元大統領の息子のどちらかが、次の大統領に選ばれる可能性があると指摘しています。日本でも世襲議員の功罪が取りざたされていますが、どうやら政治も資産家の資産家による資産家のための政治になっているようです。
ではどうすればいいのか?ということが実は問題で、もしそれが嫌なら政治の質を変えるしかないわけで、そのためには投票という手段がもっとも効率的なはずですが、どうもこれがいまいち盛り上がっていません。
「政治なんか勝手にやっていればいいんじゃないの?」「どうせ俺たちには何の恩恵もないんだ」という冷めた見方が広がっているようにも思えてしょうがないです。