議論がちっとも噛み合っていません

安全保障関連法案審議開始(2015.5.28)

 国会では安全保障関連法案の審議が続いていますが、なんだかまったく議論がかみ合わず、野党が何を聞いても同じ答えしか返ってこないように感じます。

 そもそも活動範囲を広げるということは、それだけ様々なリスクが高まるのは当たり前のような気がしますが、そうではないところで活動すると言い張っています。

 また何らかの戦闘が行われそうになったら、自己防衛のために武力を使うことはありそうですが、それ以外はすぐに撤退すると言うことのようです。

 近隣諸国に対しては、自衛隊は専守防衛に徹するものの、やられたらやりかえすぞという姿勢を強く見せ付けることが大事だと言っているように聞こえます。

 これはその昔アメリカとソ連が大陸間弾道ミサイルの開発競争を行って、互いにミサイルを作り続けていた頃とよく似た状況だなと私は感じています。

 仮想の相手が軍備を拡張しているから、こちらも拡張せざるを得ないということなのかもしれませんが、これは際限の無い軍拡競争になりますので、どちらかが財政的に疲弊してダウンするまで続くことになりそうです。

 米ソの場合はソ連がダウンしたという印象を私は持っていますが、少子高齢化の日本は大丈夫なのかという危惧を感じます。ダウンしたソ連は、その後周辺にいくつかの独立国が生まれ、今も内紛があるようですが、日本では沖縄あたりにそういった内紛が生まれる可能性があるなとも思えます。

 そもそも安倍総理というか政権側の論理は、戦闘状態や武力衝突の事態が想定されても、それらはまるでコンピューターゲームのようにコントロールすることが出来て、偶発的事態は起こりえないという論拠に基づいているように見えます。

 だから紛争周辺で支援活動を行っても安全だという結論になるのだと思いますが、当然ながら偶発的事態はいつでも起こりえますし、国によってそれぞれものの考え方や価値観が違うので、自衛隊の活動を武力の行使だと判断する国があるかもしれません。

 同じ価値観の元で紛争を見ていれば安倍総理が言うように、危険を回避することはできると思いますが、実際に海外旅行に行けばすぐ分かるように、考え方や価値観、倫理観は多種多様です。

 そう思うと、自民党の論理だけで話を進めようとしていますので、議論がかみ合わない理由も少し分かる気がしますが、そういった事まで想定すると、議論そのものが混乱してしまうのかもしれません。

 それにしても、この事態を本当に心配しなくてはいけないのは20代、30代の若い人たちだと思うのですが、喧々諤々の意思表明を行っているのは50代以上の人が多いように感じます。

 若い人が無関心なのか冷めているのか、自分には関係ないと思っているのかが不明なので、逆にそのことの方が心配です。


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