政治は互いの立場を尊重して

上海指数が不安定になって感じること(2015.8.21)

 中国の経済環境が悪化しているようで、上海指数の動きが激しくなっています。急降下したかと思ったら、思わせぶりに上昇。これなら安心だと思わせておいてまた下落。

 この動きは日本で1989年以降にバブルが崩壊した時の日経平均の動きによく似ています。政府が何らかのてこ入れ策を発表するたびに少し上昇するのですが、しばらくするとまた急落ということを繰り返し、投資家は買えば買うほど損失が発生したという時期です。

 今まさに中国の一般投資家たちがそういった状況に陥っているのではないかと思われますが、実態は不明です。マスコミの最近の論調は、中国や韓国に対して欠点や失敗をあげつらうことが多くなっていて、実情が分かりにくいなと感じています。

 日本もかつては様々な公害企業が問題視され、それを少しずつ克服してきた経緯がありますので、ある意味似たような事が中国でも起きているんだろうと思っています。

 経済発展だけを優先したときによく起きる現象だなと思っていますが、では現在の日本はどうなのか?確かに生活環境は改善され、国民全体の教養も上昇し、社会体制もしっかりした基盤ができているように見えます。

 しかし国の借金は増大を続け、それをさらに拡大させるかのような政策が続いているにも関わらず、施政者側は、相変わらず経済発展だけを目指しているように見えます。

 とはいうもののある程度経済発展がないと、国自体が衰退するかもしれないという不安は感じますので、このあたりのバランスが難しいのかなとは思います。

 一方、上海指数が不安定な動きを見せ始めた頃から、アメリカや日本の株価もなんだか怪しくなって来ました。「中国の経済が減速」とある意味蔑むような論調のニュースが多かったのですが、実際に減速が始まってみると、思いのほか日本の株価へのインパクトは大きいなと感じます。

 つまりかつての日本のバブルの時期がそうだったように、経済的に大きな影響を持つ国の景気が悪くなると、それは瞬時に世界経済に影響するということです。

 人間というのは、どういうわけか自分自身が実際に痛い目に遭わないと学習しないようで、他人がいくら苦しんでいても、そんなことが自分に起きるわけがないとつい思ってしまいます。

 これは何か予想もしない災害に見舞われたときも同様で、「この場所で洪水が発生するなんて」とか、「ここで突風や竜巻が起きるなんて」とか、「まさか自分が振り込み詐欺に引っかかるとは」、というようなことをほとんどの人が言います。

 実際私自身もそういった状況になったら似たようなことを口走るだろうなと思っていますが、そういった不愉快な体験をする人が増えて、さらにそういった考えに同調する輪が広がっていくことにより、少しずつ社会が改善していくのかなという気がします。

 ということは、自分が体験していないことでも、他人の立場に立って考え、イメージし、体験を共有することによって、より良い社会に向かうことができるということになりそうです。

 平たく言えば日本国内だけでなく、常に相手の人の立場にたって考えようということで、私自身わがままな性格だと思っていますが、その性格と他人への配慮をいかに摺り合わせるかが、大事だと思っています。

 ところが、と書くと展開が分かってしまいそうですが、政治家の場合、その基盤を維持するのが第一で、さらに自分自身の勢力拡大や権力拡大に力を注ぐ人が多くなってしまうと、自分自身のためには、経済さえ発展させればいいのであって、庶民の生活は二の次だという発想になってしまうような気がします。

 その先の結果を考えると不安になります。


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