収入が減るなら支出を減らすのが鉄則

軽減税率の議論は、政治家の人気取り?(2015.12.14)

 軽減税率は政府関係者と与党との間で行ったり来たりしながら、結局落ち着いたようです。この間の議論を見ていると、なんだかわざと騒ぎ立てて問題を大きくして、その後落ち着くべきところに落ち着いたように見えるので、なんだか巧妙な人気取り戦術に見えてしまいます。
 
 つまり我々はこれだけ努力して低所得者層に便宜を図っているんだというアピールに使われたという印象が強いということです。

 ここに落ち着くんだったら、もともそ安倍総理が言っているように、選挙公約なわけですから、最初からそうすれば良かったのにと思ってしまいます。

 とはいうものの議論の流れを見ていると、確かに財源の問題は大きいようにも思います。結局限られた財源の中で、増税と減税を同時に行いつつ、全体の国家予算を増やそうとしているわけですから、どう考えても無理があるように思います。

 低所得者や社会保障費のために財源を確保しなければならないわけですからから、当然それ以外の人たちにかかる税金を何らかの形で徴収するしかないわけで、それ以外の人たちというのは、お金を持っている勤労者や高齢者ということになります。

 そもそも低所得者というのは、住民税が非課税世帯というのが定義みたいですから、それ以外の人たちすべてが対象になるわけで、私自身も食べるものには軽減税率が適用されることはありがたいのですが、それ以外に何が負担増になるのかということが気になります。

 今のところ「たばこ増税」なんていう案が出ているみたいなので、愛煙家は辛いと思います。私の好きな酒類も、対象になってしまうかもという不安も感じます。

 一方で、素朴な疑問もあります。つまり「なぜ減少分を補うための財源が必要なのか」ということです。要するに政府はすでにすべての物品の消費税が10%になることを予定して、勝手にその消費先を考えているため、まだ徴収もしていない増税分の財源が足りないという言い方になっているように思います。

 このあたり、マスコミはあまり突っ込んだ解説をしてくれないのですが、まあ要するに国家予算規模で見ると、今でも半分程度しか税収がないわけですから、予定していた増税分が減ってしまうと、何かと不都合なことが多いということなのだと思います。

 ただその不都合の中身が問題で、社会保障が十分に機能しないというのが表向きの理由ですが、そこに利権が絡み、自分の収入が減るから困るという悪だくみをしている政治家がいないとも思えないと感じてしまいます。(これは私の個人的な政治不信感覚からにじみ出たものです)

 善意に考えれば、来年は増税のおかげで少し予算編成が楽になっていたのに、急に税収が減ってしまったということなので、慌てているということなのだと思います。

 税収は50兆円前後で1兆円足りないということですから、家庭レベルで考えると、年収500万の家庭で収入が10万減ることになったということですが、普通なら収入をすぐに増やすのは難しいので、支出を減らすような気もします。


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