政治は常に現実より遅れる

日銀は金融緩和政策を維持、円高株安が進行(2016.4.29)

 今日からゴールデンウイークの人も多いと思います。私も明後日からバンコクに向かいますので、更新が滞ると思います。

 昨日は日銀の政策会合で、現状の金融緩和政策を維持することだけが決まったため、今以上の金融緩和はなさそうだという事になり、円高、株安が進みました。

 海外旅行に向かった人は、私も含めてこの円高は歓迎かなという気もしますが、日本経済そのものはどうも元気がなさそうです。

 今日の毎日新聞朝刊には「3月物価0.3%下落」という見出しが出ています。年金暮らしの私のようなシニアにとっては物価が下がって円高になるのは歓迎だなと思うのですが、なぜか物価は上昇しないと経済は発展しないということのようです。

 このあたり経済のカラクリは全く分かりませんので、いつも違和感を覚えます。とは言うものの、物価が下がるという事は、中学か高校あたりで勉強した「需要と供給の関係で物の価格が決まる」という単純な法則で考えれば、「買う人がいない」ということの証明だと思われます。

 しかしではなぜ買わないのか?この原因分析があまり行われないままに、ともかく円安誘導で輸出を増やして企業の利益を生み出し、それを働いている人に還元すれば購買意欲が高まるという方針で金融緩和が行われているような気がします。

 ところが円安になってもそれほど輸出は増えない。(為替差益は増えたようですが)、企業の見かけの利益は増えたけど大半の企業は今後の景気が心配で内部留保を増やしている、その結果労働者の賃金は上がらないというのが今のパターンであるような気がします。

 加えてなぜ買わないのかという疑問に対して、金がない、将来が不安というのがまず大前提。その上で欲しいものがない。すでに物は持っていると考える人が増えているような気がします。

 またすでにある程度お金をため込んでいるシニア層も、老後の医療や福祉が心配で、おちおち消費できないという気持ちが強いように思います。

 根本にあるのは、日本の将来に対するビジョンが全く見えないこと。年金は減るのか、受給年齢は繰り下がるのか、医療や社会保障は今後も増えるのか、孤立したらどんな生活が待っているのか、下流老人になったらどうしよう。

 日本は社会福祉制度が整っていると思われますが、それでも連日マスコミが老後の不安を煽るような報道をしていますから、40代以上の人はみんな不安になっているような気がします。

 それに対して政治の方はどうしても目先の政策にとらわれてしまい、にっちもさっちもいかなくなってから「さてどうしよう」と重い腰を上げるというのがいつものパターンです。

 これは別に自民党政権でなくても、どんな政党がやっても同じで、政治というのは常に現実から遅れてしまうというのが民主主義社会の欠点かなと思うようになっています。

 ということは庶民の自助努力しかないという結論になり、そのために「何も買わない」という気持ちが強くなるような気もします。


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