為替差益だけで経済活性化?

「安全な資産」である「円」とはどういう意味か?(2016.7.6)

 イギリスのEU離脱問題は、離脱を煽った?責任者と思われる方が、国民投票期間中に主張していた内容がウソだったと認めたり、代表そのものを辞任したりと、なんだかすごいことになっています。

 真偽のほどは分かりませんが、ニュースを聞いている限りでは、言ったもん勝ちで、ひたすら混乱させておいて、あとは勝手にしたらというような雰囲気を感じます。この後の事後処理を任された人の心労は並大抵ではないと思います。

 一方、こういった問題が起きるたびに、為替は「安全な資産」とされる円が買われるようで、円高が進んでいます。今日も落ち着いたかに見えた為替が再び円高に傾いたためか、株式相場は大きな下落となりました。

 しかし、借金だらけの国家予算なのに、それがどうして「安全資産」として世界から認められているのか?実に不思議だなと思って、ネットで調べてみました。

 すると安全な資産の定義というわけではないのですが、要するに国すなわち政治が安定している、というのが第一条件のようです。

 次が通貨の流動性が大きいこと。いくら国が安定していても、両替するのが非常に面倒だったり、世界への通貨の供給量が少ない場合、うまく両替が出来ないという事だと思います。

 三つ目が将来の利益です。当然ながら、通貨を売買するというのは、そこから為替差益を得ようという考えがあるわけで、という事はさらに円高になった時に自国通貨に換金して利益を得ようと考えるわけです。

 という事は、110円ぐらいから現在の102円前後の相場で、110円で円を買った人は、今自国通貨に換金すれば1割近い利益が得られるという事になります。さらに言えば、今102円前後で買っている外国人投資家は、今後もっと円高に進むだろうと予測しているわけです。

 一方いくら何でも102円まで来たら、これ以上の円高はないだろうから、そろそろ円を売って自国通貨に戻そうと考える人もいるはずで、結局その両者の勢力が拮抗している値が102円前後だという事です。

 というわけで安全な資産の円が買われるという理由も、いろいろ考えてみるとなかなかややこしい部分があり、それこそ世界の投資家が鵜の目鷹の目で、虎視眈々と利益を出そうとしている、という事です。

 そんな中、日本経済は、どうやら円安誘導で経済を活性化するというアベノミクスの呪縛から逃れられないようで、自民党は経済経済と参議院選挙でも叫び続けているように感じます。

 確かに経済が活性化すれば好循環が生まれるわけですが、何回も書いているように需要がないところで円安にして為替差益だけを追い求めるのは無理があるのではと私は感じています。

 一方あり得ないとは思いますが、今度の選挙で野党が大勝すれば、日本の国情も不安定だという見方が広がり、逆に自民党政権が求めていた円安になるような気もします。

 さてどうなるか?最近は参議院選挙だけでなく、都知事選も何やら混乱してきたようです。あまりに秩序だった形で争点もなく、単純に今現在強いものが勝つというパターンより、様々な要素が入り乱れて混沌とした雰囲気の中で選挙が行われる方が盛り上がるような気もします。 


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