正業に就けず、親の収入で生活

パラサイト中年300万人(2012.5.2)

 今日の毎日新聞朝刊1面に「パラサイト中年 300万人」、という衝撃的な記事が出ていました。内容は35〜44歳の6人に1人の約300万人が未婚のまま親と同居しているというものです。

 この核家族の時代に親と同居するのはいいことじゃないか、と思って読んでいたのですが、これは大きな間違い。どうやらこれらの方の中で正業に就いていない(就けない)方が結構いるということが分かってきました。

 そうなると生きていくためには、親の稼ぎに依存するしかないわけで、自分の稼ぎがない以上親から独立も出来ず、また当然結婚をして家族を養うと言うことも出来ないわけです。

 その結果親と同居せざるを得ないということのようですが、やがてこの方達も親の世代も同時に年をとっていくわけで、この方達が50代になる頃、親の介護の問題が生じてくるはずです。

 その頃に介護費用が負担できればいいのですが、そうでない場合どうなるのか?私には見当も付きません。

 しかも現在でもこの年代の方達の親の世代は60歳前後より上になるわけで、収入は年金だけと言うこともあり得ます。ということは、後10〜20年後、親がいなくなってしまった場合、どうなるのか?

 もし現状で正業に就いていないとするならば、年金をもらうことも出来ないことになり、あとは生活保護等を受けざるを得ないという状況になります。

 現状では時給700円ぐらいで一ヶ月働くより生活保護費の方が高いという逆転現象も起きているようですから、それでいいじゃないかとも言われそうです。

 しかし、その生活保護費の原資になっているのは勤労者の税金ですから、それはないだろう、と真面目に働いてきた人は思うと思います。

 以前にも書きましたが、現在35〜44歳という年代は、フリーターが増え始めた頃に就職時期を迎えた方だと思います。

 就職が厳しい、だから好きなことをやってそこそこの収入を得て生活できれば充分、というような趣旨で、ともすればマスコミあたりもフリーターを礼賛していた時期です。

 企業側から見れば安い労働力を調達でき、必要なくなればすぐに契約解除できるわけですから、これほど都合の良い就業形態はありません。

 その意味では、長引く不況で会社が倒産し、その後就職する機会を失った方も大勢いると思いますので、本人だけの問題ではなく、経済界そのものがもう少し将来を見据えた雇用を行うべきではなかったのかなという気もします。

 しかしだから今どうするんだという解決策は思いつきません。私もそうですが、一人一人が目先のことではなく、10年20年先を見つめて行動しなくてはいけない、と言うことだと思います。

 私自身教員の立場で、一時期は進路指導を担当していたこともあり、フリーターについては「やめた方がよい」と指導してきたつもりです。

 しかし、ともすれば若者は将来を見ることなく、目先の気楽さに惹かれてしまいます。企業の姿勢と共に、学校教育の進路指導のあり方も見つめ直す必要があるかもしれません。
  
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