企業側にも学生側にも問題あり?

大卒の23%は安定職に就けない現実(2012.8.30)

 旅行中の新聞を昨日ざ〜っと読んだのですが、28日付けの毎日新聞1面に、今年の春の大卒56万人のうち、23%の12万8000人余りが正規雇用ではないと書かれていました。

 その中味を見ると、非正規雇用が2万人強、アルバイト等の一時的な仕事が約2万人。進学も就職もしていないが9万人弱だそうです。

 こういった非正規雇用を区分した調査は初めてのようなので、これまでと比較して正規雇用者以外の数が増えているのかどうかは不明ですが、ひじょうに大きな数字だなということはよく分かります。

 また幸いにも正規雇用で採用された人の中にも、当然ながら会社の仕事と自分の求めるものが適合せず、非正規雇用に陥る人もいるでしょうから、事態は深刻です。

 何が原因かといえば、大学側は学生側の意識の弱さを指摘しているようですが、何社受けても採用されない、という話を聞くと、学生側の意識の問題だけではないような気がします。ただ、それを嘆いても就職状況は改善しないはずで、やはり学生側が頑張る必要があります。

 ただ「やりたいことが見つからない学生が多い」という大学側の就職担当者の言葉は分かるような気がします。それは私自身が高校で進路部に所属し、生徒達が学部学科を選ぶ様子を見てきたからです。

 真面目に悩む子でも、何を勉強したいのか、将来何になりたいのか、自分の人生はどうあるべきか、と考える生徒は非常に少なく、結果的に現在の社会情勢を見て、「資格が取れそう」とか「就職に有利かも」、「今の成績で入学できそうな大学」、「予備校が推薦する、良いと評判がある大学」というような基準で選ぶことが多く、自分の興味関心、勉強したいこと、将来の職業イメージがあって、そのための大学、という選択をする生徒は年々減っているように思えます。

 私が高校時代の時は大学紛争があり、暴力的に許されざる行為もありましたが、今以上に学生自体が社会に関心を持っていたような気がします。

 私はそういった学生の動きを見て、友人達と一緒に社会批判をしたり、人生について話をしたり、それでも飽き足らないときは本を読んで、先人の人生訓をいろいろ得るなかで徐々に将来の職業イメージが出来たような気がします。

 今の生徒達の多くは、友人と人生を語ることはほとんどせず、本も読まず、社会に関心も持たず、人から勧められる情報を鵜呑みにして、どちらかといえば打算的かつ流動的に動いているような気がします。

 もちろんしっかりした信念を持って進学し就職する人も多いはずですし、信念を持っていたにもかかわらず就職出来なかった人も中にはいると思いますが、そう言った人たちはまた何か違う道を自分で見つけることが出来るのではないでしょうか。

 心配なのは、やはり言われるままに自分の成績で入学できる大学に進学し、なんとなく勉強して卒業。社会参加とはどうゆうことなのかということを深く考えないうちに就職時期を迎えてしまい、面接で自分の信念がないことを見透かされてしまう、ということも就職試験で落とされる一因かなと思えます。

 自分はいったい何をしたいのか?分からなければ分かるように、いろいろなことを体験したり、調べたりするしかないです。分からなくてもいいや、きっと何とかなるだろうという生ぬるい意識だと、後で苦労するように思えます。

 その意味では、古い考えですが、学生時代から、旅行、アルバイト、ボランティア活動等の体験を積極的に行い、さらに読書が大事かと思います。
  
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