授業の指導案を作る時間がない?

学校教育にゆとりがないと(2014.1.21)

 今日は仕事はなかったのですが、午前中授業のための教材作りをしていました。1時間の授業のために2時間ぐらいかけて授業内容をまとめていました。

 普段なら30分程度で終わるのですが、内容が気体分子の運動と圧力の関係という、ちょっと面倒な所だったので、時間がかかりました。

 内容そのものは分かっているのですが、どうやったら分かりやすく教えられるかとか、生徒はどの程度理解してくれるだろうか、なんてことを考えながらまとめていますので、毎年毎年少しずつ授業内容は変わっていきます。

 今から30年以上前の新任の頃は、教科書を見て、内容を把握して、それをどのように教えるかを考え、実際に黒板に書く内容をきちんとまとめ、教案を作ると言うことをやっていました。

 当然ながら、それまで高校や大学で勉強した基礎知識はあっても、高校の教科書すべてを教えてもらったりはしていませんので、受験勉強で自分なりに学習したとはいえ、知識はすべて中途半端。

 生徒からこんな事を質問されたらどうしよう、なんて考えて眠れなくなることもありました。

 しかし最初に作った教案は、やがて年月を経て少しずつバージョンアップ。当初は授業ノートというのを作って、すべてそれに書いていましたので、そういったノートが年度ごとに増えていきました。

 当たり前ですが、同じ授業内容であっても相手が変わればレベルを変えなくてはいけませんし、ふと思いついた内容を書き加えたり、勉強している内にこんな具体例を示せば分かりやすいんだと言うことに気がついて、結局毎年毎年新たに教案を作るという作業を40年近く繰り返しています。

 最近はパソコンとワープロという大きな武器があり、思いついたことを自由に書いたり消したり、校正がひじょうに容易であり、その上私自身が仕事の関係上文書作りをする機会が増え、書くよりも打った方が早いため、もっぱら教案はパソコンのハードディスクに入れています。

 そうすると、ちょっと疑問に思ったことでも、すぐにネットに繋いで知識を確認することが出来るので、昔よく使った「理科年表」や「理化学辞典」といった書籍はほとんど使わなくなり、机上から参考書の類がずいぶん減りました。

 というわけで、非常勤講師とはいえ、授業の内容がいい加減になってはいけないと思い、給料には見合わないなあと思いつつ、自宅で時間をかけて教案作りをしています。

 教員としては当たり前の事だとは思っていますが、実は一時期この教案作りが出来なかったことがあります。それは授業以外の校務があまりに多忙になり、そのための文書作りで忙殺され、授業に手が回らなくなってしまったからです。

 しょうがないので、直前に昨年の授業案をパソコンから取りだして、10分か15分で復習して授業に臨むという情けない事態が数年間あったのですが、生徒には申し訳ないことをしたと今でも思っています。

 しかし、昨今の教育現場は、そういった授業展開について勉強する、という時間がどんどん削られているのも事実です。

 生徒と向き合う時間ばかりか、授業の準備をする時間もないような学校で、良い教育が出来るのか?親の教育費負担ばかりが増加し、国や県の教育費負担が少なすぎるのではないかという疑問を常に持ち続けています。
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