退職金と年金

 早期退職した場合は、その後の家計をどうするかは大変大きな問題です。早期退職したのは良いけれど、家計が破綻してしまっては、今よりさらに厳しい生活になってしまいます。

 しかしそう考えはするものの、一般的に言って早期退職後に今より金が儲かって楽な仕事なんてあるわけがありません

 もとより今より金を儲けようという気はありません。むしろ少なくても良いから最低限の生活が保障でき、時間的な余裕があり、ストレスが減るような仕事があればいいなと考えます。

 しかし世間は不況のまっただ中。50代後半のおじさんが働けるような職場は間違いなく少ないはずです。少ないどころか、無いに等しいとも思えます。

 とすると起業でしょうか。自分で商売を始めるバイタリティや体力があるならばともかく、そこまで踏み切るならむしろ今の仕事を続けたほうが良いような気もします。

 もちろん何もしない、という選択肢もあります。しかし貯金はすぐに底をつき、しわ寄せは子供にいくかもしれないという不安を覚えます。

 そう考えたとき、果たして自分の年金はいくらぐらいなのだろうか、という疑問も浮かんできます。そしてさらに退職金はどうなるのだろうか、ということも当然視野に入れなければなりません。

 さらにこれらの金額が分かったとして、今後起きるライフイベントをまとめ、それにかかる費用を算出し、果たして早期退職が可能かどうかを考えなければなりません。慎重派の私としては、「え〜い、面倒だ。仕事なんてやめちゃえ」というような感覚にはなれません。

 それやこれやを悩んでいた2009年5月。職場から退職者希望者向けセミナー開催の案内が回ってきました。

 内容は退職金、年金、経済プランの作成、健康維持の方法、みたいなことが書かれています。ともあれ知識がないことには決断も出来ません。早速申し込んでみました。

 2009年8月セミナー参加。開催時間より40分も前に現地に到着しましたが、すでに入り口に行列が出来ていました。

 もちろんすべてが早期退職者ではなく、ほとんどが定年退職者なのですが、今回のセミナーは自由参加のはず。関心の高さが伺えました。周りを見ると明らかに私と同じぐらいの年代と思われる人もいます。みんな真剣です。

 セミナーが始まりました。年金の計算方法、退職金の計算方法について、丁寧に説明がありました。だいたいすでに自分自身で研究していた内容でしたが、いくつか目新しいことも知る事が出来ました。

 一つは年金の繰り上げ。本来なら65歳からもらえる老齢年金を、60歳からもらうというものです。この場合長生きすればするほど損します。逆に65歳からもらえば、最初は額が少ないのですが積もり積もって長生きすると得になります。

 この損益分岐点が70歳後半であることが分かり、私自身は元来対体力的にひ弱だと思っているので、長生きは出来ないだろうと今も思っています。その時点では、これは間違いなく繰り上げだなと思いました。

 ちなみに年金の繰り下げ受給という選択もあります。早期退職の場合はあまり考慮する必要はないと思われますが、繰り下げれば繰り下げるほど受給額は増えます。

 ただし生きている間だけですから、繰上受給もそうですが、自分の健康状態を予想して決める必要があります。

 また今入っている保険組合は最長2年間延長できるということも分かりました(共済組合です)。国民年金とどちらが得なのかよく分からない部分もありますが、これまでの経験からしてとりあえず1年は継続する方が良さそうです。

 退職金については、私が事前に計算していた額とほぼ同じでした。ただし残っている住宅ローンは一括返済となるので、退職金はその分減額されます。

 ちなみに退職金の額は、職場からもらっていた福利厚生関係をまとめた冊子の最後の方に計算式が出ていましたので、それを使いました。通常の企業でも同じような冊子があるのではないかと思いますので、早期退職を考えている人は探してみることをお勧めします。

 なお早期退職は、勧奨という制度が適用できると基準値より若干上乗せされます。民間の方はこの上乗せ額が大きいように感じていますので、将来を左右する退職金の額は綿密に計算した方がよいと思います。

 以上から、だいたい60歳以降の収入状況と、当面確保できる現金の目安が分かってきました。次はその現金以外に仕事がなかった場合生活できるかどうかと言うことです。


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